川で使えるプラグ4(ペンシルベイト考)

トップウォーターゲームの中で僕がダントツに面白いと思うのは
流速のあるエリアでのペンシルベイトを使うゲームです。
ペンシルベイトは通常はトロ場で使う方が効果的かつ釣りやすいのですが、
あえてチャラ瀬やガンガン瀬で使う合理性を模索してきたのです。
スキルアップの最大のテーマと言えます。
川のスズキ釣りは複雑な流れを感覚的にではありますが3次元で解析し、
魚の付き場をイメージし、それに基づいたアプローチを考え、
実証していくという一連の工程の精度を高めていくことが経験値の蓄積に繋がります。
これを外さなければ魚を見つける能力はどんどん磨かれていきます。
アプローチの精度を高めていくと疑似餌釣りに本質である「魚を騙す」ことの
面白さが際立ってくるんですよね。
友人などにいたずらして相手が引っ掛ってドジると痛快じゃないですか、
つまりこう仕掛けたらこうなるというシュミレーション通りに
事が運ぶ愉快さみたいなもの。
僕はルアーフィッシングの醍醐味はそれに通じるものがあると思っています。


スズキと言うターゲットは騙しがいがありますよ。
工夫して捕食しますからね。
ターゲットの意図を逆手に取れれば、
何だって思い通りのことが出来てしまうのです。
思い通りのことができるのであれば、
一番愉快なアプローチを試してみたくなるもの。
僕にとって一番愉快な釣りはトップの釣りなんです。

ある程度魚を釣ったら、
実釣主義から快楽主義に価値観をブレさせていくこともありだと思います。
微妙な表現を使ったのは、実釣主義を完全に捨て去ることではないからです。
まあ、両方の間を行き来しながら徐々に快楽主義のウェイトを
増やしていけば良いのかなと。
現実と理想を行き来するのは何も釣りだけに限ったことではないですけどね。
トップウォーターの釣りは、常に結果を出す釣りではありません。
駄目な時はからっきし、箸にも棒にもかからない
、見事なまでに何もなく終わってしまいます。
確率論に縛られていたらとても試せるアプローチではないです。
ただ試さないとトップの釣りの本質がわかりません。
どんなシチュエーションを得意とするのか、実感できません。
実感できなければ、チャンスが到来してもそれに気付きません。
宝くじのCMではないですが、
「買わなきゃ当たらない」つまり「使わなければ釣れない」のです。
では、宝くじのように運まかせかというと、そんなことはないのです。
トップウォータープラグの合理性について自分なりに言葉にしてみます。
トップを使ってもいいかなと思う切欠は、
ある程度の魚影が確認できかつ魚の活性が高く、
アングラー優位の状況の中で心に余裕が生まれた時に訪れるのが一般的かもしれません。
自虐ではなく余裕から派生する動機なのです。
ぼくはそれでいいと思います。
最も確率が高い方法ではなく最も娯楽性が高い方法を試してみようと思えるかどうか。
こんなものに騙されるのかという驚き、
現実とのギャップの大きさがこの釣りの娯楽性の本質でしょう。
トップの釣りのカルチャーショックを受けると、
その醍醐味が忘れられなくなります。
またその醍醐味を味わいたいという欲求が現場でトップウォータープラグを
選ばせる動機になります。
ここまでが第一段階。
次に訪れるのが試練です。
何しろ釣れません。バイトが出ても乗らなかったりします。
せっかく釣れるチャンスをふいにして凹むこともあります。
ここを乗り切るのは現実的な釣りも平行してやることです。
ホゲってばかりでは釣りそのものが楽しくなくなりますから。
この段階で大事なのは、
どんなに釣れなくてもトップを試すことを止めないことです。
基本的にトップメインのスタンスを変えないこと。
実際には他の現実的なプラグでばかり釣っていても、
トップで釣るこだわりを捨てないという矛盾を抱えること。
僕がやっているレイティングの釣りは、
実はそういった複雑なメンタルを反映したものなのです。

釣れない釣りに合理性が果たしてあるのか?
釣りを始めてからずっと釣れずに現在に至っている人には無いかもしれません。
なぜなら的外れなことをやり続けているために低レベルから
脱却できていない可能性が高いからです。
数もサイズも人並み以上の実績を得た上で次のステージに移行を図るときの
選択肢の一つとしてトップに拘った釣りがあります。
もちろん釣りのスタイルの1つに過ぎないのですが、
レコードフィッシュ狙いなんかよりはずっと現実的で
長期間楽しめるスタイルだとは思います。
結果的にレコードフィッシュが出ることも十分ありえます。
トップはある程度サイズを選びますしね。

つまり第2段階の試練を乗り越えるためには疑似餌釣りの娯楽性に拘り、
釣果は二の次と自然に思えるだけの経験を積むしかないのです。
釣れない釣りの合理性とは疑似餌釣りの娯楽性に拘ることと現実的に魚を出すことを
矛盾したことだと思わないメンタルを構築すること、
同時に自然観察力やアプローチの精度(スキル)を磨くことで
理想と現実をリンクさせる能力を身に付けることに集約されると思います。

トップの合理性などと上段に構えながら、結局、精神論になってますが、
トップの釣りを語る上で精神論は外せないのです。
確率の低いアプローチはナンセンス、そんなの嫌だという人はさようならですが、
確率を過度に追求することは逆にアングラーを盲目にするのではないでしょうか。
「木を見て森を見ず」になってしまう可能性があるということです。
今マーケットに出回っているシーバスプラグって似たようなモノばかりでしょう。
「釣りやすい」を売りしているからそうなっているのでは?
「楽しく釣る」という要素を除外してませんかね。
良いプラグはアングラーのスキルを上げてくれます。
使い込むほど、有効なスキルが自然と身に付き、
次から次と新しい発見を得られるプラグがほんとにいいプラグだと思っています。
単価2,000円前後のプラスティックの疑似餌にビルダーが
どんなエッセンスを込めているのか、
底の浅いものなのかそうでないもかを見極める目も養っていきたいですよね。

肝心のペンシルについてまだ何も触れていませんが
ダラダラ長くなってしまったので続きは次回に。