メランコリア

DVD鑑賞したのは少し前なのですが感想を書くタイミングを逸してました。
今の段階で鮮明に頭に映像とストーリーが残っているのですから個人的に楽しめたのでしょう。
主演はキルステン・ダンストスパイダーマンのヒロイン役が有名ですが彼女がメインキャスティングされた作品で僕が一番気に入っているのは「クレージービューティフル」
心を病んだお嬢様役でしたが、奇抜な行動をとりつつ根は純粋で傷つきやすい女の子を魅力的かつリアルに演じていました。
ちょっとキャラクター的にクセのある役のほうが魅力が出るなと思っていましたが、今回はまさにそんな役どころ。
メランコリアでのダンストは結婚式を挙げる情緒不安定な花嫁役ですが、式に2時間も遅刻するわ、いきなり風呂に入るわ、出席者の会社の同僚とセックスするわと破天荒ではた迷惑な行動に終始する。
この変人花嫁とそれ以外の常識人との対比を描くわけのわからない豪華な結婚式のシーンがストーリーの大半を占めています。ただ式の間花嫁が憂鬱そうに星空を見つめているシーンが結末を暗示してはいるんですけど。


冒頭のシーンが素晴らしいです。この世の終わりをこういう風に表現するのかという一種の感動があります。
ワーグナーの「トリスタンとイゾルテ」を効果的に使い極端なスローモーション映像で見せるという技法はなかなか画期的で感心しました。

作品としてはSFなんでしょうが、心理描写中心のため、ハリウッドの活劇大作とは趣を異にしていますし、クレージーな花嫁に不快感を覚えてしまう人も少なくないでしょうから誰もが楽しめる映画ではないです。
底知れぬ絶望感を妙にライトに描いている感じは逆に不気味であり、花嫁の破天荒な行動に気をとられがちですが、彼女は終焉を予知していた風もあり、死に直面すると精神正常な人はパニックに陥るのに鬱病の人は冷静に受け止めてしまうという皮肉めいたメッセージ?を僕は感じました。

まあ、病気な映画であることは確かですが、不思議と暗い気持ちにはならなかったですしキルステン・ダンスト贔屓としては彼女の演技を久々に楽しめました。