印象に残るハードヒッター9

<ミドル級10回戦 ファン・ロルダン vs.ジェームス・キンチェン/米国ラスベガス/1987-4-6>

アルゼンチン人のハードヒッターの系譜にはユニークなボクサーが目に付きますが、ファン・ロルダンもその一人です。
時系列では、
オスカー・ボナベナ ⇒ ファン・ロルダン ⇒ ホルヘ・カストロ ⇒ マルコス・マイダナ
こんなイメージ。
皆頑強なラフファイターでお客さんを楽しませますよね。


今回フォーカスするロルダンの勲章といえばマービン・ハグラーにキャリア唯一のダウンを与えていることです。ややスリップ気味ですけどダウンがスコアされているのは確かです。
結局ハグラーにはボクシングレッスンを受ける羽目になりましたがパンチングパワーのあるところはアピールできてました。
そしてよりスリリングなファイトだったのがトーマス・ハーンズ戦。
剥きになって倒しにきたハーンズのラフになったディフェンスの隙をついて強打を叩き込んでぐらつかせてました。
最後は実力差が出てハーンズにロングレンジから右を狙い撃ちされてマットに沈みましたがあわやというシーンは演出できただけ大したもの。
ロルダンの体力に頼ったブルファイトスタイルは強豪ハグラーやハーンズには善戦こそすれ通用しませんでしたがコンテンダークラスのジェームス・キンチェンであれば話は別です。彼の本当の実力はこの試合でわかるのかなという気がします。
キンチェンもハーンズと接戦を演じるなどそれなりの実力者ですがこの試合に関しては中途半端なスタイルが仇になった感じ。
インファイトするのかボクシングするのか、境界線のメリハリを失い攻守の切り替えを誤ると危ないんです。ロルダンのような猛ファイターに対しては。
その辺はハグラー先生を見習わなければ。

ただハグラーもハーンズもロルダンのラフなパンチを少なからず喰ってましたから当て勘は侮れないものがあるのでしょう。
それを証明したのがジェームス・キンチェン戦なのではないでしょうか。
ある程度打たせることで相手のディフェンスの隙を作るんですよね。
単純に打ち合いに巻き込んでいるようにも見えるのですが、手を出すタイミングが良いのでラフな打ち方でも当たるのでしょう。
そういえば前述の4人にはその点は共通しているような気がします。
見た目の不恰好さで実力を判断してはいけない方たちです。

因みにこの試合はハグラー-レナードのアンダーカードで行われました。
ハグラーが勝っていればロルダンとの再戦があったのかもしれません。
キャラの濃いロルダンのようなボクサーはプロモーターに重宝されますからね。

http://boxrec.com/list_bouts.php?human_id=1019&cat=boxer