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カシアス・マーセラス・クレイ

BOXING ARCHIVES

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初めてテレビでアリの試合を観戦したのがこれ。

確か13歳の時。

もちろんリアルタイムではない。

秋葉原の大型電気店を彷徨いていた時たまたま店のビデオでこの試合を流していた。

ビデオがぼちぼち普及し始めたタイミングだったかな。 

テレビも当時としては大型の画面だったと記憶している。

モニターの前には人だかりができていて、

「なんだろう?」と好奇心に駆られて寄って行った。

当時僕の電気店での関心はオーディオだけだったからテレビなんてどうでもよかったはず。

 「あれ!アリじゃん」

気付いて足を留めた。

それなりに長尺の試合だが、その場に居たほとんどの人が最後まで観ていたなあ。

何人かは僕のようなボクシングファンだったのだろう。

食い入るように画面を観ていたもの。

当時のボクシングファンは海外のファイターの試合映像を観ることに飢えていたからね。

情報が雑誌メディアにほぼ限定されていたから。

僕も初めて観るアリの映像に興奮気味。

が、徐々にそれは冷めていった。

「えぇー、アリってこんなだったんだ」

というのが正直な感想。

まあ、がっかりしたというか。

確かにスピードはあるがパンチが無いように見えた。

それと打ち方が雑だなと。

カウンターが当たらないと効かせられないのかしら、そんな印象だった。

ボクシング小僧としては物足りなかった。

例えばアルゲリョの試合を初めて見たときのインパクト、

ロイヤル小林をボディブローで悶絶させたシーン、

その時の印象と比較するとね。

迫力不足。

ヘビーウェイトの世界タイトルマッチに初めてエントリーしたサウスポーであるミルデンバーガーの方がむしろ僕の好みだった。

イメージと実像のギャップは初見の際感じることが多いのだが、アリの場合悪い意味でギャップが大きかった。

アリに関してはそれ以後30年以上 ネガティブなイメージを少なからず引き摺っている。

アリに対する評価は識者の間でも両極端。

彼の残した実績に関してケチをつける者はいない。

つまり実力を疑っているわけではないのだが、

スキルに関しては評価が分かれてしまう。

アリのスタイルにはフォロワーも多かった。

つまり時代のトップレベルが認めてベンチマークしたわけだ。

ただ、それは優れた戦術として評価したからというだけでなく、

いや、むしろ、優れた黒人アスリートがトレンドとしてのアリスタイルを取り入れたという印象が強い。

人種的な問題、アフリカ系アメリカ人としてのアイデンティティの発露という側面も無視できない。

そんなことはどうでも良い、極東の島国のボクシングファンである僕の目にはアリのボクシングが優れているようには見えなかった。

ただそれだけのこと。

訃報を聞いたからといって心にもない賛辞を並べる必要はない。

僕の中での歴代ヘビーウェイトの序列では、アリはベストテンにも入らないのだから。