ラパラのカウントダウンは世界で一番有名で売れているプラグだ。
そう躊躇なく言い切れるところがこのプラグの凄さを物語っている。
そのオートマチックで有無を言わせぬ集魚力故逆にアンチも多いだろう。
僕もその一人なのだが。
僕が一番最初に使ったカウントダウンはCD9だった。
20年以上前、秋田でスズキ釣りをしていた頃使っていたことがあった。
ホームにしていたエリアではアスリート9SとCD9がど定番だった。
当時僕は弘前からの遠征組で、スズキ釣りはフローティングミノーかバイブレーションを使うもんだと思っていたから、その事実を知ってちょっとしたカルチャーショックを受けた記憶がある。
現場で話をしたジモティに教えてもらったのだが、彼曰く、
「カウントダウンとアスリートしか投げないよ」
こいつ何言ってんだろと違和感覚えつつも試しに使ってみたら…
釣れる。
疑いの余地がないほど釣れやがる。
あまりにもイージーに魚を連れてくるCD9に驚愕しつつもよりテクニカルなアスリート9Sがお気に入りになったことで直ぐに出番は減っていき、やがて使わなくなった。
特に流速のあるエリアで使うイメージは皆無で、ダートしない、イレギュラーアクションや抜けの出ない、あまりにも真っ正直なハイピッチウォブラーの固定イメージが強すぎて川の釣りに使うことはないだろうと思っていた。
なまじっかキャリアを積んでしまうと余計なプライドが出来てしまいカウントダウンを使ってますとは胸張って言えないなんてことも。
「昨日90upが出たよ。」
「へー、ルアーは何?」
「カウントダウン」
「 . . . 」
相手の苦笑する顔が思い浮かんでしまう。
そういうイメージが付いちゃった。
かなり使い始めの初期の頃からね。
ただ今は一周回ってなんちゃらじゃないけどネガティブイメージはないかもしれない。
で、カウントダウンを渓流釣りで使って四半世紀ぶりのカルチャーショックをまともや受けてしまっている。
何しろ問題解決力が際立っているからね。
経験値が足りないため暗中模索している状況を打開するポテンシャルを持つプラグなのだ。
ただ引いていれば渓魚が勝手にバイトしてくるという意味ではない。
実はいろいろなシチュエーションやアプローチに対応する万能性を備えている。
単純にも見えるが実は計算され尽くしているシェイプをバルサという最強マテリアルで形成しているだけで勝ったも同然。
そしてもはや反則レベルのリップ形状と大きさ。
不自然なほど立ち気味かつボディ寸に対して巨大過ぎるリップが間違いなく効いている。
水掴みの良さはクイックレスポンスに繋がり、タイトな渓流ポイント攻略を可能にしているのだ。
着水即アピールし、沈下と自発的アクションのコンビネーションをこれほど素早く繋げるプラグは他にないだろう。
だから渓流向きなんだ。
プラグとしての黄金比(意味が違うが他に思い浮かぶ単語がない)とも言えるシェイプ+バルサマテリアル+独特なリップが産む完全無欠の集魚力を認めないわけにはいかない。
好き嫌いは別問題ね。
いろいろな状況に対応できる渓魚釣りの技量を備えたら多分また使わなくなるかもしれない。
ただこれ以上優秀なマイクロプラグがあるのか疑問ではある。
Dコン?
使ったことはないが、ニーズにマッチしないというか僕の釣りには馴染みそうもないプラグなので興味は薄い。
それと20年前のカウントダウンと同じネガティブイメージ(一般的過ぎる)を感じるのは僕だけだろうか?
だれかの説得力のあるプレゼンやコメントを見たら考えが変わるかもしれないけどね。
今のところそういうものを目にしたことはない。
「定番」とか「万能」とか「釣りやすい」などの他人のコメントで心動くほどウブじゃないのだ。おじさんは。
支流ラリーをやっている今だからこそCD3のとんどもない強さを実感している。
ダメな苦手なシチュエーションがないと言ったら流石に言い過ぎか?
特に小さな落ち込み下のタイトなたまりはCD3の独壇場だ。
小さな庭の池程度のたまりでプラグを引ける距離は5mもないが下流や上流の関係などから集魚要素を感じて狙いたくなったら、僕は迷わずCD3を使う。
着水落ちパクでも、
ショートディスタンスをただ引きしても、
シャクリ気味にプラグを踊らせても(後述)OK。
何でも御座れとはこのこと。
シビアな状況になればなるほど頼りになる。
決してお気に入りのあまり贔屓の引き倒ししているわけではなく、
あまり好きじゃないけど圧倒的な結果が説得力を生んでしまうもので。
早くCD3から卒業したいというのが本音なんだが。
さて支流ラリー。
今回は枝分かれして名前が変わる2つの支流を1日で両方対応した。
朝一で合流点周辺をチェックし先に魚が出た方から始める段取り。
合流点の複雑な反転流の中を48ダイブのジャーキングで出た。
ジャスト20cm。
最初に攻める支流が決まり、さて遡上開始となったら50m上流にルアーアングラーが堂々と入ってきた。
「そこで入渓しちゃダメだろ。」
僕の方を明らかに見ておりまたもや確信犯現る。
注意しようと思ったがバカバカしくなり止めた。
どうせこんな輩ばっかりだ。
マナー知らずで悪びれずに頭ハネしているから余計タチが悪い。
「まあいいや、ボリュームゾーンはあんたに譲るよ。」
既に20cmを釣っているので多少気持ちに余裕があったのだろう。
仕方なく3kmほど上流に車で上がりそいつと間隔を開けて入渓した。
そこは車が停められる最上流点で、(道はあるが通行止になっている)
そこまでの行程で駐車している車はなかったので当然先行者はいないと思った。
ところが遡行してしばらく魚影がまったく確認できない。
嫌な予感がしつつも遡行していると案の定上流に人が入っていた。
フライの二人組だったが、どこから入渓したのだろう。
単純に気になったから追いついて訊いてみた。
ところが入渓点は誤魔化され車を停めた場所だけ説明されたが場所が特定できるような明確な説明ではなかった。
面倒くさそうにボソボソと喋り、何を言っているのかさっぱりわからない。
ジモティではなさそうだ。
胡散臭そうに僕のことを見ており、こいつも件の輩と同種と判断しそれ以上関わるのを止めて退渓した。
とぼとぼと駐車場所に戻ると地元の人に話しかけられた。
「ここには停めないほうが良いよ。大型車が通ることがことがあるから路肩でも邪魔になるんだ。」
「ところで釣れたかい?」
「いえ、先に人が入っていたので諦めて帰ってきました。」
「すぐ上流に入られたんだろ。ここじゃそれが当たり前。あんたの後に車が通行止め突破して行ったからきっとそいつらだろ。」
「あんたもそいつらの上流に入れば良いだろうに。」
「いやー、そういうことはちょっと。キリが無いですし。」
「あんたみたいな人は釣れずに帰るんだよ。」
「まあ、そうですね。」
「この少し下流で川が二又に別れるからこっち側の流れではなくもう一方を上がって見たらどうだい。こっちは人が良く入るがもう一方はほとんど入らないから釣れるかもしれないよ。」
僕のことを気の毒に思ったのかそんなことを。
その人にお礼し、素直に二又に別れる場所に行ってみた。
流れは大分細かったが魚が居ないとは言い切れない。
ダメ元で細い流れを上がっていくと徐々に水量が増しそれっぽい雰囲気になっていった。
「これは正解かも」
そして釣れた。
チビだが2匹釣ってこの支流はクリア。
もう一方のメインの流れの方に多少気が残ったがまたいずれ来れば良いと割り切った。
午後からは兄弟支流のもう一方へ移動。
入渓した場所で直ぐに出た20cm。
ハイプレッシャーエリアだったが、雨がポツポツ降り出していて低気圧が味方した感。
その後チビが続けて釣れて条件クリア。
まだ時間があったので同じ支流で先日玉砕したエリアをもう一度攻めてみることにした。
前回は魚影をまったく確認できなかったので期待感は薄かったが。
やはり魚影は薄かったがなんとかCD3で。
その後予定していた退渓ポイントを通り過ぎてしまい、出るに出れずに遡行していると、
魚の溜まっている落ち込み発見。
ただ追ってはくるが食わないパターン。
CD3もダメ、48ダイブもダメ、ブリブリもダメ。
どのプラグも見切られ既にスレてしまったが最後の最後にバックアンドフォースダイヤをシャクったら食った。
22cmくらい。
正に保険メソッド。
比較的回数通った2支流だったが人が多く、またいただけない輩もいて障害になったが無事2支流ともクリア。
翌日の別の支流釣行もいっしょに書くつもりだったが長くなったので次回に。
CD3のメソッドも合わせて。