Date: 2016-04-09
Where: MGM Grand Garden Arena, Las vegas, Nevada, USA
Division: welterweight (147 lbs, 66.7 kg)
Title: vacant WBO International welterweight title
Result: Manny Pacquiao def. Timothy Bradley (unanimous decision, 116-110, 116-110, 116-110)
マッチアップ:★★★★
スリル:★★
スキル:★★★
印象度:★★★
170cm足らずの小さなウェルターウェイトは必然的に筋肉量が多くなり(体脂肪率を上げずに増量を図ればそうなる)、極端に言えばミシュランのマスコット(ビバンダムくん)のような体型シルエットに見える。
ティモシーくんが正にそんな印象。
ビルドアップされた上半身は、ちょっとウェルターウェイトのファイター離れしている。
ちょっとムキムキ過ぎだろって話。
それでいて足(特に下肢)は細いときている。
対してパックマンは同程度の体格ながら上体の筋肉量はほどほどだ。
逆に足が太くて逞しい。
パッキャオのボクシングを支えているのは縦横無尽、俊敏なフットワークだ。
スピード、移動距離の微調整が巧みでウェルターウェイトあたりでこんなに器用に足が使えるファイターは他にいない。
パッキャオが体格差を克服して現在の地位を手に入れた最大要因(強み、武器)は、このフットワークにあると思うが、もう一つ、
それはアジリティ。
足が速いだけでなく、小回りが利き、かつ上体(両腕を含めて)が上手く連動できているから。
過剰な筋肉で上体の動きが制限されていないことがブラッドリーとのマッチアップではっきり解りましたね。
逆にブラッドリーは制限されてしまっている。
打ち合うとパックマンのパンチがよりインサイドのアングルから入るのはそのため。
フック主体かストレート主体かという違いを生んでいるのも上体の可動域の差があるからではないか。
そんな視点で12ラウンド観戦していました。
試合自体はカウンターの狙い合い、地味な駆け引きをする時間帯が多く盛り上がりに欠けたかもしれませんが、
パッキャオが大成した要因を最後の最後に改めてボクシングファンに見せつけたのでは。
もちろん、パンチングパワーがそこそこあり、ここぞというタイミングでのアキュラシーが並外れていたということを忘れてはいけませんが。
フィリピンの貧民窟が生んだ怪物は衰え感をそれほど感じさせずにグローブを置くのでしょうかね。
それはそれで潔くていいかも。
これほどのスピードを最後まで維持できてしまったのが、何よりも凄いなと。
ブラッドリーがスピード負けしていたもの。