さて、大ヒットを飛ばしているジュラシック・ワールドを観てきました。
この作品は観客のターゲットを絞ることができない、
つまり老若男女問わず楽しんでもらいたいという欲張りな制作意図があったと思われます。
では、作品の核になる魅力、普段映画館にはあまり足を運ばないようなライトユーザーにもチケットを買わせる要素はいったい何だろう。
それはつまりリアリティなのではないかと。
厳密にはおとぎ話にリアリティを醸すために最大限の努力を払い、難しいハードルをいくつもクリアすることによって子供騙しのレベルを超越したものを当たり前のようにスクリーンの中で展開させること。
まあ単純な表現をすれば、
巨大で凶暴な大迫力の恐竜と無力な人間とのコントラストを極限まで際立たせるということです。
それ以外のこと、ヒューマンストーリーや軍需的な陰謀の匂いなどはおまけに過ぎない。
あとテーマパークの管理の不備は、観客にスリルを与えますよね。
こいつら、無能すぎて絶対大惨事を招くってね。
結局、問答無用の映像ありきなんですわ。
インドミナス・レックスの迫力たるや尋常ではないもの。
魅せ方もホラー物のきっちりしたロジックに当てはめていますし。
ジャングルの中でプライベートアーミーの隊長らしき人が背後に違和感を感じてゆっくり振り向くと擬態化して姿を隠していたインドミナス・レックスがドーンみたいな。
観客、そこで掴まれますよね。
スリル満点ってやつです。
僕はこの映画の魅力はこの一点に尽きると思います。
くだらない?
いえいえ、そのリアリティを感じて思わずたじろいでしまう映像を当たり前のように提供していることが凄いのです。
うーん、なんていうか中身は大したことがなくてもインフラだけ驚異的に凄いというか。
はなからギャグの上に成り立っている作品コンセプトですから難しく観る必要まったくなし。
単純に「わー、凄い」でいいんです。
マイク・タイソンの左フック炸裂みたいなもんです。
誰でも吹っ飛ぶように倒れてノックアウト。
いや実は緻密なディフェンススキルの上に成り立っていて攻防の連動性を極限まで追求した結果なんだと薀蓄野郎に言われてもボクシングを見慣れていない一般の人には何のことやら。
エンドロールの長さがとんでもないです。
なかなか終わらなくて席を立てませんでしたよ。
多くの一流映像音響エンジニアが関わっているわけですから。
ある意味彼らがこの作品の主役なんでしょうな。
ビジュアルを作ったクリエーター達。
彼らには拍手を送りたいです。だからエンドロールもキッチリ観る。
おっ!日本人もいるじゃんって気づけたし。