Salvador Sánchez - Wikipedia, the free encyclopedia
海外のサイトでサルバドル・サンチェスを取り上げた記事がアップされていたので読みました。
ちょうど彼の命日だったのでフォーカスされたみたい。
サンチェスの技術分析は今まであまり見かけなかったので興味深かった。
実は僕もサンチェスを取り上げようとかなり以前から思っていたのですがなかなか切欠がね。なかった。
僕の中でのサンチェスのイメージは、
なんのことやらでしょうね。
順番に説明します。
『金太郎飴』というのはどのラウンドもクオリティが同じという意味。
ラウンドによるメリハリがない。
あまりスパークするタイプではないのですがそれにしても淡々と同じ戦術を繰り返すその持続性と均質性に感心します。
単調というのとは違う。
機械のような精密さと表現した方が解りやすいでしょうか。
まるでマラソンランナー的なメンタルとフィジカルを持つファイターなんです。
勿論長所なんですけど、人によっては試合ぶりが退屈と映るかも。
『フィギュアスケート』というのは独特のフットワークを例えています。
サンチェスのフットワークは出入りをするためではなくベストパンチである左フックを当てるためのポジショニングの意味合いが強いように思う。
間合いを計ってパンチを差し込む軌道を確保するためとも言えます。
したがって大きく動きすぎたり、上下に跳ねすぎては意味がないので足さばきがまるでフィギュアスケーターがステップを踏む動きに似ているんです。
やや歩幅の大きいすり足フットワーク。
そういえばエドウィン・ロサリオも同じ意味合いの足さばきをしますね。
よりサイドにステップを踏む感じですが。
サンチェスはもっとサークリング軌道というか、だからフィギュアスケート(笑)
それと足さばきと手を出すタイミングとリズムが同期しています。
そのため相対的に良いポジションでオフェンスを発動させているのがわかります。
後出しジャンケン的な有利なシチュエーションを常に作ろうとしている。
『ナチュラルカウンター』はそのまま。
カウンターパンチャーであることに異論のある人はいないでしょうが、ファン・マヌエル・マルケスのようなカウンター職人ではない。
出すパンチが自然とカウンターになるという印象。
これは攻防の連動性によるのですが、ホセ・ナポレスなみにパンチを見切れているからというわけではなく、もっと複合的なディフェンスルーティンにより被弾を避けつつ(あるいはパンチングパワーを逃しつつ)オフェンスに極めてスムーズに繋げているからタイムラグを短くできる。
タイムラグが短いからカウンターになる(に見える)
『インファイトが好物なボクサータイプ』というのは、単純に打ち合いに強いということです。
フットワーカーですが打ち合い上等なところがあります。
フットワークに依存せず、ボディワークとブロッキングも臨機応変に使うので打ち合っても被弾が少ない。
前述しましたがこのディフェンスとオフェンスを組み合わせたパッケージを均質のクオリティで持続する能力が高いので試合が長引けば長引くほどアドバンテージが取れる、そのためマッチアップ相手の方が先に破綻するパターンにはめ込めるんです。
クレバーで我慢強いというのも大きな長所。
ラストファイトになったアズマー・ネルソン戦にはここに書いたサンチェスの特徴てんこ盛りです。
慌てず急がずペースを完璧に守るサンチェスの強みがはっきり表れている試合だと思います。
まあネルソンも強いけどね。
16歳でデビューしたサンチェスのキャリア初期の試合をビデオで観たことがありますが、後に名選手になるとは思えないほどはっきり言って下手くそでした。
身体全体が硬く(特に膝)ギクシャクした動きのファイタータイプ 。
ただ、無茶苦茶手を出しているようでいてほとんどカウンター気味にパンチが当たっているところなんか、やっぱりサンチェスだなと。
キャリアを積むにしたがいボクサータイプに変わっていきますが、ディテールの試行錯誤を繰り返したことが伺える、ある意味不完全で発展途上のスタイルだったのではないでしょうか。
際立ったスピードもパンチングパワーもないのにあのウィルフレド・ゴメスに完勝してしまったわけですから地力はかなりのものがあるのでしょうけど。
サンチェスは23歳の若さで交通事故死してしまったのでその後のキャリアを妄想するしかないのですが、もし事故に遭わずリングに上がり続けていたらスタイルをどう変化させていったか?
またファイタータイプへと回帰していったのではないか。
根っこの部分では打ち合い好きと思えるので。
耐久力もそこそこありそうでしたしね。