Saturday 28, September 2019
Staples Center, Los Angeles, California, USA
Commission California State Athletic Commission
Promoter TGB Promotions - Tom Brown matchmaker Tom Brown
Doctor Blair Kranson, Rhonda Rand, Tony Hicks, Paul Wallace
Inspector Mark Relyea
Media USA FOX PPV
マッチアップ:★★★
スリル:★★
スキル:★★
印象度:★★
以前スペンスのメディアワークアウト動画の視聴感想を書いた時ハグラーの名前を出したのは、二人が似ているからということではなく、ハグラーのレベルを目指してほしいという個人的な願望からだった。
まあ単純にあのレベルのファイターをまた見たいだけ。
現役ファイターを見渡して一番近いのがスペンスかなと。
よって彼の試合に関しては要求するパフォーマンスレベルは高い。
「もうちょっと上手くポーターを捌けなかったものか?」
この試合の感想はそれだ。
もちろんポーターの地力を過小評価しているつもりはない。
タフだしスタミナはあるし頭を下げて突っ込んできて手数をまとめてくるし、きっとやりにくかろう。
ただクロスファイトに持ち込まれた要因は、能力過信からくる戦略(ゲームプラン)の曖昧さだと思う。
逆にポーターはきっちりしていた。
特に前半にその差がはっきり出ていて、やるべきことを遂行しているポーターにペースを取られている印象を残してしまった。
4Rまでポーターにフルマークのジャッジがいたからね。
わからなくもないよ。
矛盾するようだが、1〜2Rはポイント的に捨てラウンドになることを承知で様子を見てもよかったかもしれない。
相手に合わせるようにクロスレンジで打ち合ってしまった。
意図してそうしているのと相手に合わせているのでは観戦者の印象が全く違う。
フルパワーに近いエネルギーを使ってペースを取りに来ているポーターに対し素直に受けに回れば、そりゃ後手を踏むに決まっている。
往なす要素が皆無だったのが残念。
ジャブで中に入れないとか、
右フックで相手を回すとか、
フットワークで距離を取るとか、
がっちり噛み合う必要あったかな。
相手によっては微妙なズレを作る戦術の引き出しが必要では?
噛み合わせようとしているようで実は噛み合わせない。
ファイタータイプにとってはまるで半ツキ麻雀のようなゴキブリホイホイのような破滅の入り口への誘い。
マービン・ハグラーはこのメソッドの達人だった。
動画はハグラー-ハムショの第2戦だが、ハグラーはハムショの特徴を熟知しているが故にこの半ズレ的なアプローチを取っていることが実に良くわかる。
所謂説得力がある戦い方をしているのだ。
一見ボクシングしているように見えるが接点を切るのではなく僅かにつないだ状態でハムショを泳がしている。
犬に首輪をつけているような状態かな。
ハムショが例のごとく何度も頭突きをかまそうとしているが想定内なのでやりたいようにやらせている。つまり挑発して冷静さを失わせたりストレスを与えてメンタルから痛めつけたいハムショの意図を理解しているのでペースを乱されることはないのだ。
得意のラフ戦法が空回りしているハムショは徐々に余裕がなくなっていて、打つ手も限られ退路も立たれた状態に追い込まれていっている。
で、戦術的に丸裸にされた状態で無慈悲にフィニッシュされている。
完全にボクシングされていたら(ハグラーはそれもできるが)ハムショは追いかけ回せば良いだけのことなので大して不都合ではない。
この微妙なズレの作り方。
これはハグラーのセンスとしかいいようがないのだが、やはり圧倒的な地力の高さ故つまり明らかな力上位を証明しているとも。
良い意味での余裕がハグラーにはある。ポジティブな意味合いのね。
スペンスの余裕はハグラーほど緻密な根拠に基づいていないからポーターとの戦い方に説得力がまるでない。
ただ力上位であることは確かなのでなんとか勝ったというだけ。
戦術の幅が意外と狭いでは片付けられない、
メンタルの甘さをこの試合で垣間見た気がする。
パッキャオはもうジジイだが、メンタルの甘さは皆無だ。
もし戦えばスペンスが有利だとは思うがパックマンが勝つ可能性も決して低くはない気がしてきた。
この試合を観た後尚更ね。