僕が長年に渡りホームにしている聖なる河。
住まいのすぐ近くを流れていて、そこは河口から5km地点。
一昨年の台風19号がもたらした記録的な豪雨は堤防決壊の一歩手前まで増水させた。
あの時は怖かったな。
あと一時間雨が降り続いていたら我が家は水浸しだったろう。
自由な時間が欲しくて会社勤めを辞めて越してきてから多くの時間を河で過ごしてきた。
遡上マスから始まり川スズキに嵌り河口〜中流部(アユ釣りエリア)までは通い尽くした。
そして河川工事による環境破壊の実態を間近に見続けた。
同じ河とは思えないほどいろいろと変わってしまったが(特にアユの遡上量の激減ぶりが顕著)それでもマイスィートホームであることには変わらない。
上流部で釣りを始めるにあたり渓魚とアユのどちらをやるか迷った。
僕も中年になっていたので熱中できる最後の釣り物を選ぼうと。
本当はアユの方が思入れがある。
ただアユ釣り文化に馴染めそうもない気がした。
人気ポイントの銀座状態もなんだかね。
釣堀みたいで。
ぼっちな釣りがしたい、それと長年培ったルアー釣りのノウハウを生かせるという理由で渓魚釣りを選んだ。
まあまあそれなりに楽しめてはいる。
毛針もやりたいなと思うようになってきているし。
スズキ釣りに関してはフェードアウトの方向。
やめてしまうわけではないが。
渓魚釣りは支流中心で釣行していたが、今シーズンはそのポテンシャルに気付いたこともあり本流筋(アユ釣りと被らないギリのエリアより上流)を中心にやっていこうかと。
まあこの釣りの性格上通い込むことはしないが。
最下流エリアは魚影はやや薄いがフローティングミノーの釣りの醍醐味を味わえる。
中流域(便宜上そう表記する)は途中から魚影が極端に薄くなるエリアがあることがわかった。
それはおそらくワサビ田があるからではないだろうか。
農家から漁協にクレームが入っていることは知っていた。
ワサビ田に入る(悪戯する)釣り師がいると。
どう魚影をコントロールしているのか不明だがワサビ田の密集エリアにはほとんど渓魚がいない。
入退渓が大変で遡行も極端にしにくい。
つまり釣り師を遠ざけているのだ。
釣れない場所にわざわざ行く釣り師はいないからね。
上流域は超人気ポイントで魚影は濃いが競合は必至。
では源流域は?
それを確かめる釣行を土曜日にした。
結論から先に書くと魚影は濃かった。
真剣にやればつ抜けることなど容易い程度に。
林道の切れ目からの入渓はイージーだが、退渓も同じ場所になる。
つまり遡行したルートをUターンして下りてこなければならない。
エントリーした場所で早速釣れたが、その後釣れ続くとは思っていなかったので、
正直、ボウズを回避できてホッ。
無収穫で終わらずに済みそうだと。
調査釣行のマインドセットだったからね。
支流の源流域では良い思いをした経験がなく、
結局何もありませんでしたと徒労に終わることがほとんどだった。
ところがその後釣れ続く。
サイズはイチマル中心だがポツポツ7寸が混じる。
それより大きい魚影も何度か確認できた。
食ってこないけどね。
何故かCD3への反応が悪い。
こんなこともあるんだ。
アスリート55S FH改には反応してくれるが如何せんタイトエリアなため食わせるのがムズい。
追ってきた瞬間にもうピックアップしなければいけないからだ。
仕方なくスピナーを使ってみたらこれが見事に嵌った。
流れに乗せる必要がないこともあるが短距離走の得意なスピナーを使う合理性は十分あるなと納得し、ビギナーが使うものというネガティブイメージを払拭できたのでは。
それなりにテクニカルに使えるじゃん。
面白いかというと、うーん、なんとも微妙だが。
少なくともバカにするのは止めた。
もう少し興味を持って自分の釣りにマッチするスピナーを探索しようかな。
源流域故こんなロケーションだもの。
ミノー引くほどのスペースないのさ。
とりあえず魚影が確認できなくなるまで遡行してみようと。
この上は流石に無理だろうと思っても、結局魚居るんだわ。
「えっ!まだ居るのかよ。」
この繰り返し。
ほとんど岩の間をよじ登るようにして遡行していたのに。
こんな1m四方ないくらいのタイトプールに必ず魚が居るんだもの。
魚体は特徴的で背の黒みが強い。
背の黒が目につくのがこの川のネイティブなのだろう。
最大で写真の8寸だったがより良型が居そうだ。
単に食わせられなかっただけ。
ひとつのプールに5匹くらい居るとして先にチビが食ってきて場を終わらせてしまうのでどうしようもなかった。
連発することもあるのだが、一番大きいのは最初に追ってきた後スレちゃうからノーチャンス。
どうやったら良型を選べるのか?
考察の余地はありますな。
この子がラストフィッシュだった。
釣れた場所のやや上流に大きな滝があったが魚影は確認できず。
そこから上にも行ったが魚影なし。
5時間かけて遡行して、やっと魚がいなくなる場所までたどり着いたのでした。
帰るのも大変。
エントリーした場所に戻るのに沢を2時間近く下らなければならなかった。
遅い昼食を取ってからもう1箇所気になるエリアがあったのでサーチしに行った。
本流から枝分かれした支流だが川の名前はない。
1.5km程度しかないが水量がそこそこあるので期待感はあった。
これ以上は無理というどんつきまで遡行したが魚影はまあまあ。
簡単につ抜けたが規模が小さい川なので当分ここに来るつもりはない。
場が回復した頃合いを見て今度は毛針を試したいな。
翌日の日曜日も本流釣行したが、午前中だけ。
前日の疲れか体が重く、起きれたのが5時だったので現場入りが遅くなってしまってモチベーション低下していたこともある。
まだ未釣行エリアが本流筋で1箇所あったのでそこをサーチしたかった。
良い感じの瀬もありロケーションはそこそこ良いのだが、
やはりワサビ田がらみのため魚影は極端に薄かった。
ワサビ田群を抜けた途端にパタパタと釣れ始めたのには笑ってしまった。
要はそういうことだよね。
やっぱ本流筋はバラエティーに富んでいて面白い。
3日がかりでないととても全行程回りきれないが、その分楽しめる。
水質も良いしね。
エサ釣りにガッツリ抜かれるまでは各現場の再生能力があり十分保全可能なのでシーズンを通して楽しめそうだ。
わかりやすくて釣りやすいのは支流の方だが、再生力に乏しいからね。
フィールドのキャパに対してアングラー過多であることは確かで、できればエサ師も不必要に持ち帰らなければいいのに。
まあ良型だけ抜かれるのも辛いが。