<リーガ第20節延期分 アスレチック・ビルバオ vs レアル・マドリー サンマメス>
レアルが32回目のリーガタイトル獲得を決めたこの試合は今シーズンのレアルの戦いぶり、強さを象徴するものでした。
テッパンフォーメーションである4−2−3−1は適材適所を納得させる面子が並んでおり、少し前までのバルサ戦のみ相手に合わせて中盤の守備を固めた戦略に変えることもありましたが、やはり戦略的な合理性は失っていませんでした。
今日はベンゼマに変えてイグアインでしたが、移籍の噂がチラホラのイグアインを優勝のかかったアウェー戦、それも強敵のビルバオ戦に先発で使うあたりが、「お前を信頼しているぞ」というモリーニョの無言の引止め策と取れなくもなく、そうだとするとチームマネジメントに長けるモリーニョらしいなと。
バルサと常に対比されるレアルは、ここ3シーズン旗色が悪かったですが、守備的だとか批判を浴びながらも地盤固めを堅実に行ってきた結果、今シーズンの見事すぎる結果を生むに至ったのだと思います。
僕はモリーニョを手放しで褒めるつもりもありませんし、レアルの戦い方にシンパシーを覚えることはありませんが、ただ本当に安定的に強いチームを作ったことには感心しております。
レアルの戦略は守備的なのでしょうか?
得点が多いことを根拠に攻撃的だとは思いませんが、90分+αの試合全体の中で相手チームより多く得点するという単純明快な目的に合った戦略であることは明確だと思います。
ぺぺ(S・ラモス)−アロンソ(ケディラ)−エジル−ベンゼマのセンターラインと、
ロナウド(基本左)、ディマリア(基本右)のウィングフォーワード。
それにマルセロなどのサイドバックが試合展開によっては前線に絡んでくる。
適材適所なんですが、個々人はユーティリティ性がありポジションを柔軟に変えて相手のディフェンスの隙を伺うという感じです。
スピードとアキュラシーというオフェンスの2大要素でマッチアップしている相手を凌駕(悪くとも勝越している)しているわけですから、劣勢場面はそう多くはないにも拘らず、カウンターを有効に使ってますから、いやらしいですよね。
セットプレー(空中戦)も強く、フリーキックのスペシャリスト(今シーズンはあまり炸裂しませんでしたが)もいるというわけで、引き出しも多いですよね。
こんなチーム(面子)がディフェンシブであるわけがなく、したたかな戦略に基づく効率的なオフェンスを志向しているに過ぎないのです。
バルサのようなカンテラから醸成されたケミストリーや哲学はないのかもしれませんが、短期間に完成度高くチーム力を構築したことを今日のビルバオ戦では認識させられました。
気が付けば3−0でレアルがリードしているみたいな試合。
相手の隙をついて合理的にあっさりと得点する印象です。
イグアインの先制点は強烈でしたが、こういった個の力が要所で発揮されるのもレアルの強みですよね。
試合後のインタビューでモリーニョは、「明日から来シーズンの準備を始める」と発言してましたが、さて、ベースのガチっと出来たチームにどんな変化を加えようと思っているのでしょうか。
来シーズンのレアルがどこまでチーム力を引き上げられるのか興味があります。
モリーニョが辞める理由はないですね。
良くも悪くもこのオッサンのバイタリティーは凄そうだもの。