ノニト・ドネア vs ジェフリー・マセブラ


<WBO・IBF S・バンタム級タイトルマッチ ノニト・ドネア vs ジェフリー・マセブラ/カリフォルニア

一方的なスコアのユナニマスデシジョンで勝利したドネアですが、長身でやや変則なスタイルのマセブラを攻めあぐねました。左フックでダウンこそ奪いましたが、全体的には効果的なオフェンスが出来なかったかもしれません。
ラウンドによっては一発狙いを控えてショートパンチを多用してみたり、ボディ狙いでマセブラの足を止めにかかったりと戦術の変更をしかかるのですが、あまり継続性がなく、すぐまたビッグパンチ狙いに戻ってしまってました。
そしてジャブを打たない、ワンツーを使わない、あくまで型にはまったボクシングをしない意地?のようなものを感じてしまいます。
左フックで倒したいのは誰が見ても明らかでしたけど、相手の警戒を十分わかっていながらも惜しげもなく振り回してました。
不器用なタイプではないでしょう。


マセブラに勝つための戦術というよりは警戒されていてもそれを打ち破れるスキルを身に着けなければ自身のレベルアップを図ることができないという意思を感じてしまいます。
まあ、もっと先を見据えているという感じでしょうか。
ドネアはそれくらいの器を持ったボクサーだと思います。
他と一線を画す自分のスタイルを構築しそれを貫き通すボクサーはほんの一握りしか存在しません。
欠点はあるんですよ。
ただ欠点と長所は紙一重の違いでしかなかったりします。
ドネアはディフェンスのことをあまり考えていないように見えます。
実際相手のジャブとか軽打は結構もらっている。
ドネアは相手のパンチをブロッキングで避けるのではなく、ヘッドスリップでかわして直ぐに打ち込むことだけに執着していて、所謂攻防一致のスタイルが特徴です。
自らのストロングポイント、踏み込みの速さとハードヒッターであることを最大限生かしたスタイルだと思います。
ちょっとボクシングの一般常識で計れない要素なので、あまり出来の良くない試合をしたからといって安直に批判しないほうが良いかなと思います。

ナジーム・ハメドのあの変梃りんなスタイルが通用したのは突き詰めれば並外れたハードヒッターであったためでしょう。それと同じ理屈がドネアにもあてはまると思います。