オーパ、オーパ !!

開高健の文庫本オーパシリーズは4冊ありますが、
僕は「オーパオーパ!! アラスカ至上篇 コスタリカ篇」が一番好きで何度も読み返しています。
この本を読んで、また挿入されている釣りの写真を見て強く印象に残っていることがあります。
それは僕の釣りにも影響を与えているのですが。

アラスカでのサーモン釣りを書いた「王様と私」の中の一節、
ビギナーの教授に釣りを教えている場面、

「糸はいつもピンと張っておくこと。魚を遊ばせて泳がせるのはいいけれど、
休ませてはいけない。休ませると魚はすぐ体力を回復する。
すると勝負が長引き、今度はリリースしてやっても魚が生きのびられない」
「どうして?」
「魚は興奮すると体内にラクティック・アシッド、
乳酸というものを分泌するのだけれど、これを処理する機能が魚にないので、
一種の自家中毒を起こして死ぬという。
だから生かしてリリースしたいんだったら勝負は長引かせないほうが
魚のためにはいいとされているの」
「わかりました!」


リリースすりゃいいってもんじゃない。
以前、マスキー釣りのDVDを観たことがあるのですが、
巨大なマスキーをアメリカ人アングラーが次から次へと釣り上げていく内容なのだけど、
感心したのは、ファイト時間の短さ。
リリース前提の釣りというのはそういうことなんだなと思ったものです。
掛けた魚をばらさないことが大事なのではなく、
素早く獲って素早くリリースしてやることが大事だと。

オーパオーパ!!」は文章も面白いのだけど、
それ以上に写真にインパクトを与えられるんですよね。
どの写真も眺めているだけでイマジネーションかきたてられるのだけど、
特にシングルグリップのバスロッド(フェンウィック、型番不明)
でサーモン釣りをしている写真にやられてしまった。
ターゲットがバスではなくてサーモンというのが僕には受けた。
素早いランディングが大事だと主張している開高健がライトタックルを使う理由は?だが、
なんだかカッコ良いなと思ってしまったのです。
アラスカの川でシングルハンドキャストしているところを想像すると楽しくなってしまう。
ショートロッドというのはバラシやすい等いろいろデメリットがあるんですけど、
それを払拭するだけのキャスティングの楽しさがあります。
オープンウォーターで遠投するシチュエーションでは使いづらいですが。
実際にシングルグリップのロッドで釣りしてみるとわかりますが
魚を掛けてからはシングルもダブルも大した違いはない。
ただ良型が掛かると多少手首が痛くなるかなという程度。
慣れたフィールドで対象魚のパワーを理解していれば、
それとライトなブランクでなければ全然問題はないと思います。
わざわざシングルハンドでキャストする合理性はないですけどね。

川のスズキをシングルグリップのトップウォーターロッドで狙うスタイルは
愛読書に影響されているのかもしれませんね。
自分が楽しめるスタイルを模索し続けているおかげで飽きっぽい性格の自分が
釣りを飽きずにやれているのは確かです。

開高健の釣りモノの本は気が向くと読み返すのですが、まったく飽きません。
釣り雑誌なんか読むより、僕ははるかに有意義な時間を過ごせますね。