印象に残るハードヒッター5

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以前書いた原稿をそのまま引用します。


【WBCヘビー級タイトルマッチ ラリー・ホームズ vs アーニー・シェーバース】

79年9月の試合。印象に残るハードヒッターのカテゴリーでアーニー・シェーバースを取り上げます。
対ホームズ第2戦ですが、アリが返上したタイトルをホームズがケン・ノートンとの決定戦を制して獲得したタイトル防衛戦です。
全盛期のホームズの強さも確認でき楽しめます。


オールタイムハードヒッターランキングが語られる時、上位にランクされることが多いシェーバースですが、世界チャンピオンの肩書きはありません。
世界戦は2戦2敗、ホームズ戦の2年前にモハメド・アリに挑戦して善戦及ばす判定負けしてます。
僕の中ではケン・ノートンと並ぶ70年代のヘビー級コンテンダーの代表格みたいな認識ですね。
ただしその強打者ぶりは超がつくほど頭抜けていましたから、これぞヘビー級というスリル満点の試合をしてファンを楽しませてくれました。
アリがテレビのトークショー番組の中で、「戦ったボクサーの中で一番パンチがあったのはシェーバース」と語ったのはあまりにも有名。
アリはリストンともフレージャーともフォアマンとも戦っているのでそのコメントを聞いたボクシングファンは真に受けたわけです。
ホームズ戦までの戦績は58勝7敗1引分56KO(凄っ)、いかにもパンチのありそうな逞しい上半身をしてます。ヘラクレス体型ですね。
ファイタータイプでぐいぐい前に出てきますがジャブは突かないしコンビネーションブローもなし、小細工なしに豪腕を振るう典型的な一発屋ですが意外とディフェンス力があり堅いガードでパンチをそれほど貰いません。
ガードを固めて接近し距離が合った瞬間にパンチを捻じ込んで決めてしまう戦い方で観客にとっては解りやすく、アリやホームズのような実力者にとっては一発の恐さはあるにせよ単調で捌きやすい相手とも言えます。
ホームズ戦ですが、試合自体は11回TKO負けで力及ばずという感じですが、7回にあわやホームズ失神というほどの強烈なダウンを奪ってます。
序盤はホームズのシャープな左ジャブが冴え渡り、ジャブで突き放して、距離が詰まると右ショートカウンターからアッパーのコンビネーションを面白いように当てる展開が続き、ディフェンスも見事でシェーバースの単発の強打は空転させれます。
ホームズのジャブは今見てもやっぱり凄いですね。歴代ヘビー級No1でしょう。
ところが6Rにホームズは余裕が出たのか急にアリスタイルでピョンピョン跳ね回り始めるとそれまでの良いリズムが崩れシェーバースのパンチが当たる距離になってしまいます。
で、7Rにキャノン砲炸裂、凄まじい右フックがホームズの顔面を捉え、観客が唖然とする中でレフェリーのカウントが始まります。
まあよく立ち上がることができたなというほどの一発を食ったホームズはフラフラの状態でなんとかゴングまで凌ぎます。
その後ダメージの回復をはかりながらペースを取り戻す戦いぶりは見事。
最終的にはホームズが勝負強さを遺憾なく発揮して11回にシェーバースをめった打ちしてレフェリーストップを呼び込みます。
この試合、シェーバースの底知れないパンチの破壊力と全盛期のホームズの凄みが両方堪能できてお腹一杯になれますね。