アサインメント

国際的テロリスト逮捕のため彼の替え玉に選ばれた男の苦闘を描いたサスペンス・アクション。実在のテロリスト、カルロス・サンチェスの逮捕時の取材を基に映画化。監督は「スクリーマーズ」のクリスチャン・デュゲイ。脚本は「告発」のダン・ゴードンとテロリスト研究の権威サビ・H・サブタイの共同。製作は「スクリーマーズ」のトム・ベリーと「スキャナース2」のフランコ・バチスタ。撮影はデイヴィッド・フランコ。音楽はノーマンド・コーベイル。美術は「スキャナース3」のマイケル・ジョイ。編集はイヴ・ラングロワ。出演は「マイケル・コリンズ」のアイダン・クイン、「同居人 背中の微かな笑い声」のドナルド・サザーランド、「死と処女」のベン・キングスレーほか。

1986年。国際的テロリスト、通称“ジャッカル”ことカルロス・サンチェス(アイダン・クイン)を追うCIAとモサドは、誤認逮捕してしまったほど彼に生き写しの米国の海軍大佐アニバル・ラミレス(アイダン・クイン=二役)を使っての替え玉作戦でカルロス逮捕へ向けて動き出す。良き家庭人であるゆえに当初は抵抗したラミレスだが、CIAのフィールズ(ドナルド・サザーランド)とモサドアモスベン・キングズレー)による苛酷な極秘訓練ののち、やがて心身ともにカルロスの替え玉になりきった。87年5月、リビア。潜入したラミレスはカルロスの愛人アニエスカを誘惑してカルロスをおびきだす作戦に出たが失敗に終わり帰国。だが、カルロスの人格がとりついたゆえに、ラミレスは以前の自分を失ってしまっていた。かくして彼は自身を取り戻すため、カルロスを完全に抹殺すべく作戦に復帰。87年10月、ベルリン。ついに本物のカルロスと対峙したラミレスだが、カルロスは逃亡。だが結局、94年、カルロスはついにスーダンで逮捕されたのだった。...


アサインメント : 作品情報 - 映画.com

The Assignment (1997) - IMDb

この作品を観る前にフランス映画『カルロス』を観ていて、有名なテロリスト、イリイチ・ラミレス・サンチェス繋がりでたどり着いたもの。
『カルロス』を観るきっかけはメインキャストのエドガー・ラミレスに興味が有ったから。
そしてエドガー・ラミレスに興味を持ったのは近年公開予定のロベルト・デュランの自伝映画『ハンズ・オブ・ストーン』でデュラン役をやるということで彼の他の出演作が気になったから。

カルロス : 作品情報 - 映画.com

『カルロス』はDVD3巻5時間30分の尺のドキュメント映画で内容的に特に面白いとは思いませんでしたが、カルロスが関わったテロ事件を時系列に描く前半部と冷戦の終結とともに存在価値と活動基盤を失った後に滞在する各国からつま弾きにされる逃亡生活を描く後半分で構成されている。
カルロスの人的繋がり等多分に脚色はされているのでしょうがドキュメンタリー映画らしく比較的ドラマ性を押さえて淡々と描かれている印象でした。
エドガー・ラミレスについては、器用なマルチリンガルであることに感心。
国際的なテロリストとしてはまり役だったかもしれません。
英語、スペイン語、ドイツ語、フランス語を違和感なく喋れるんですね。
ただデュランとはイメージ的に重なる部分がないので役作りできるのかどうか疑問。
身体も大きすぎるような。多分、身長180cmぐらいあるのでは。

お題の『アサインメント』は『カルロス』よりずっと映画らしい映画です。というかフィクションらしいフィクション。
暗躍するカルロスに業を煮やし捕獲に執念を燃やす米国のCIAとイスラエルモサドの共同替え玉作戦に駆り出された米国海軍士官の主人公のキャラの変貌ぶりが見所なのかな。
過酷な訓練とその後の任務で人格が変わっていく過程が面白かった。
ストーリーは実話とフィクションを無理矢理繋いだ感じで荒唐無稽な感を拭えないのですが、主人公の内面の変化と苦悩だけ妙にリアリティがありました。
エイダン・クインは印象の薄い役者でしたが、脇を固めるドナルド・サザーランドベン・キングスレーのおかげで上手くキャラクターを立たせています。
ロケ地の選定やカメラワークなどは素晴らしく地味に良く出来た作品だと思います。
カルロスについて多少なりとも予習してから観た方が楽しめるでしょう。