マニー・パッキャオと八重樫東


Date: 2013-11-23
Where: Cotai Arena, Venetian Resort, Macao, China
Division: welterweight (147 lbs, 66.7 kg)
Title: vacant WBO International welterweight title

Manny Pacquiao (54-5-2, 38 KOs)
  vs
Brandon Rios (31-1-1, 23 KOs)
Result: Manny Pacquiao def. Brandon Rios (unanimous decision, 120-108, 119-109, 118-110)


パッキャオとメイウェザーのマッチアップ絵を使わせてもらったのは、
マッチメークの可能性を俄に取り沙汰され始めたから。
それを前提にして今回のリオスとの復帰戦を振り返ってみると、
ネガティブな要素ばかりが浮き彫りになってくる。
先ずパッキャオってこんなに遅かったっけ?
試合後にリオスは、
「パッキャオのパンチは効かなかったが、とにかく速かった」
とコメントしてましたが、
「以前はもっと速かったよ」と突っ込みたくなりましたからね。
連敗前のパッキャオはトップレベルの軽量級のスピードと
中量級のフィジカルを併せ持つ怪物でした。
ボクシングの試合において対峙するボクサーの優劣を分けるポイントは3つ。
スピード、スキル、そしてパワー。
特にスピード差というのは体力差さえ帳消しにしてしまう
絶対的な要素だと認識しています。
歴史に名を刻むレジャンドを思い浮かべてみてもスピードのアドバンテージを
誇示していた者がいかに多いことか。
もちろんスピードとパワーが融合していれば最高なのでしょうが、
どちらか1つ取れと言われたら、迷うことなくスピードを選びます。
それを裏付けるのが先日の八重樫東-エドガー・ソーサの試合
この試合の八重樫のスピーディーな出入りのボクシングは秀逸でした。
縦横無尽のフットワークとハンドスピードを見せつけるような試合ぶりで
老かいなソーサに付入る隙をまったく与えませんでした。
完勝というのはこういう試合のことを言うのでしょう。
ストロングポイントを最大限活用したゲームプランと
リング上でのパフォーマンス、セルフマネジメント力。
ほぼ満点ですわ。
一方、今月35歳になるパックマンのスピードの衰えは顕著であり、
リオス相手にアドバンテージがあったのはむしろスタイル的な、
いわば相性の良さ(リオスは明らかにフットワーカー、サウスポーが苦手)
の方だったのではないでしょうか。
スピード差はありましたけど段違いというほどではなかった。
リングサイドで観戦していたコットはこう思ったでしょうね。
「今のパッキャオなら倒せるな」と。
以前対戦した時はスピードと手数で圧倒されましたからね。
メイウェザーも以前のようにパッキャオを警戒するあまり「ドーピング云々…」
と吠えることはないでしょう。
何故なら、リスクが低く普通に勝てそうだから。
もしパックマン-メイがあるのなら、コット戦当時のスピードを取り戻さない限り
ワンサイドでやられる可能性が高いと思います。
復帰戦だからという理由で甘い採点をするボクシングファンが多いでしょうが、
我々が望むマッチメーク、そして一進一退の熱戦が展開されるためには、
パックマンが飛躍的なアップグレードを図られねばなりません。
しかし、彼の年齢、取り巻く環境(国会議員と二足のワラジ)などを鑑みれば、
望むべくもないかなと。
八重樫くらい速ければメイと良い勝負するはずですが。