ホセ・ナポレスの訃報記事を目にした。
60~70年代のライト〜ウェルターウェイトレジェンドだが、全盛期は強すぎてタイトルホルダーにまったく相手にしてもらえず(図抜けて強くステイタスが低いのだからそうなる)やっとチャンスをくれたのが1つ上の階級のカーチス・コークスだった。
で、ナポレスが勝利した試合後のコメントが、
「チャンスをくれたコークスに感謝している。」
当時はタイトル認定団体が1つしかなかったし、ただでさえベルトを巻くまでの道のりが厳しいのに、タイトルホルダーに敬遠されてしまったら。
135~140ポンドで戦っていた頃のナポレスの試合を観たいものだ。
メキシコのテレビ局にテープ残っていないのかな。
タイトルホルダーになって以降の試合は見尽くした。
僕が最も(ダントツで)ビデオや動画で試合観ているレジェンドファイターがナポレスだ。
ビデオが普及し始めた子供の頃、誰よりも観たかったのがナポレスだった。
ようやく入手したナポレスの試合のビデオ(カーチス・コークス戦)を文字通り擦り切れるまで観た。
ややイメージとギャップはあったが、それでも期待は裏切らなかった。
「おおっ、全然ガードしねえ!」
同じビデオを繰り返し再生し、テレビ画面に釘付けの僕を見て母親が呆れていたものだ。
ナポレスのスタイルは攻防一致と一般的に表現されるが、
極限まで効率化されたディフェンス工程によりオフェンスにほぼ特化することが可能になった究極のファイタースタイルだと思っている。
ガードはせずヘッドスリップのみという極端なディフェンスルーティンだ。
それでも大半のパンチを避け切ってしまう化け物じみた能力の持ち主だった。
ハイリスクハイリターンな戦術であり、当然テキストブックには書かれていない。
普通はディフェンスに費やしている時間帯を端折って、しかも打たれずに手数を出しているのだから強いに決まっている。
決してカウンターを狙っているのではなく、結果的にカウンタータイミングで当てているから効果も絶大。
手数と的中率という、ややもすれば相反する指標を共に高める究極の戦術と言える。
オンリーワンとも思えるナポレスのスタイルだが、実は原型がある。
母国キューバの先輩、キッド・ギャビランだ。
ナポレスのアイドルがギャビランだったそうなので、おそらくはベンチマークしたのだろう。
似てるけど、ナポレスの方がよりオフェンシブなスタイルかな。
ギャビランスタイルを発展させたのがナポレスなのだろう。
ギャビランはウェルターウェイト時代のシュガー・レイ・ロビンソンには2戦2敗だけど両方接戦。
僕が最も観たい試合がロビンソン-ギャビラン。
タイトルマッチなのだから映像残っていると思うのだが。