Date: 2015-04-18
Where: University of Texas, Arlington, Texas, USA
Division: light welterweight (140 lbs, 63.5 kg)
Terence Crawford 25-0-0 (17KO)
vs
Thomas Dulorme 22-1-0 (14KO)
Title: vacant WBO World super lightweight title
Result: Terence Crawford def. Thomas Dulorme (TKO at 1:51, round 6)
この試合のテレンス・クロフォードはオーソドックススタンスのみでファイトしていました。
それって僕が観戦した試合では唯一ではないかしら。
スイッチスタンス(しかもサウスポー でファイトしている割合が多い)のイメージが強かったのですが、やっぱりオーソドックスで通してもらった方が全然良い。
この試合の出来の良さからしてもそれは明らか。
クロフォードの美点はグッドバランスだということ。
それはスタンスだけのことではなく、攻防の切替えやディフェンスルーティンにおいても言えること。
ディフェンスの3要素(ブロッキング、ボディワーク、フットワーク)のコンビネーションがグッドバランスなんです。
しかもそれは試合を通して一定なのではなくどの要素をどのタイミングで強調するかがフレキシブルかつ適切だということがこの試合ではっきりと解ります。
デュロームはコンビネーションパンチャーというよりは踏み込んで単発強打をねじ込んでくるタイプでスピードもそこそこあります。
試合序盤はデュロームの踏み込みをいなすことを主眼に置いたフットワーク(小さなステップバック)がキーディフェンスであり、
徐々にフットワーク依存を減らしつつデュロームのパンチングパワーと軌道を測るためにブロッキングメインに移行し、
相手のオフェンスの特徴を把握できた段階でいよいよ自身の攻防連動性を高めるために(つまりオフェンシブスタイルにギアチェンジを図るために)ヘッドスリップを多用してカウンターのタイミング、精度を上げていく。
という感じで起承転結のはっきりしたゲームプランにリンクさせたディフェンスルーティンを披露してくれます。
うーん、なかなかクレバーですね。
『後の先』を体現していると言ったら褒めすぎかもしれませんが、相手のオフェンスをきっちり受け止めてから徐々に隙をついて崩しにかかるスタイルを実践できる者は極々限られたタレントのみ。
クロフォードはその一人なのかもしれません。
相手の長所、特徴を消すのではなく、やることやらせた挙句に地力の差を見せつけつつ寄り切り勝ちしてしまうスタイルというのは見栄えがとても良くエンタメ性に富んでいるのです。
シュガー・レイ・ロビンソンがそうであるように。
HBOなので。
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