
先週末は早川水系のイワナ沢に釣行した。
同水系にいくつかあるイワナ沢の中では最激戦区。
先行者(または頭ハネ野郎)が必ず居るため大らかな釣りができないと承知しているが、先乗りを期して2時起きで自宅を出発した。
5時に車止めに到着したが、既に満車だった。
釣りの支度をしている者もおり、残念ながら先乗りならず。
離れた場所に駐車して朝食をとろうとしたが体調がどうにも悪い。
目眩がして気持ちが悪いのだ。
オフトレ山行の時経験した例の状態と同じ。
小一時間ほど車の中で横になっていたら治ったので朝食をとって準備をして出発した。
登山道を1時間ほど歩き入渓したが、既に人が2人入っていた。

テンカラとルアーアングラーの二人組だった。
スタートが遅れたため先行者が居ることは予想していたので気落ちはせず、声をかけてご一緒させてもらうことにした。
車に戻って他の現場を探すのは時間的に無理があったしね。
二人組に遠慮してキャストはほとんどしなかった。
彼らが攻め残したであろう場所をちょこっと探る程度。
当然ノーバイトである。
魚影もない。
一方先行者の2人も苦戦していて全然魚を掛けられていないようだった。
理由は直ぐに判明。
また上に人が居たのだ。

二人組のルアーアングラーだった。
一緒に遡行していた2人はそれを見て諦めて退渓した。
枝分かれした支流に回るとのこと。
一緒に来ないかと誘われたが断り、上の二人組に声を掛けた。
20代と思われる若い子(僕の息子より年少だろう)だったが嫌がるふうもないのでご一緒させてもらうことにした。
もう釣ることは諦めていた。
2人の釣りを眺めながら未知であった上流域の渓相を確認するのみ。
こっちの2人も随分苦戦していた。
というかせせこましいゴーロ帯で派手なカラーのシンキングミノーを使っていた。
なんぼイワナでもこの状況でそいつは食わんだろと思いながら彼らの釣りを観察していたら、片割れの子がアドバイス欲しそうに頻繁に僕に話しかけてくる。
「ルアーが大き過ぎるのでは。今日はあまり活性が高くないからスプーンやスピナーを使った方が釣りやすいはずだよ。」
「キャストしやすいポジションを取るために魚に接近し過ぎているし、ポイントの周りを動き過ぎて警戒されていると思うから、もっと離れるか岩に隠れて動かずにアプローチした方が良いよ。」
「ピックアップ間際でイワナは食ってくるから、ちゃっちゃと速攻回収しないでギリギリまで誘うイメージを持った方がヒット率が上がるよ。」
その3点を簡潔にアドバイスしたが、理解したかどうか怪しい。
現場の経験値が少ないから実感が湧かないのだろう。
ネットやらの情報を鵜呑みにして釣りしているアングラーの典型だ。
現実と虚構(ブログをアップしている僕が言うのもなんだが)を混同してはダメだ。
ネットや紙媒体(雑誌とか)の情報にリアルは存在しないと思った方が良い。
百聞は一見に如かず。
現場とバイアスかけずに向き合うことが何よりも大事なのだ。
そう言うことを若い彼に言いたかったけど、上から目線で説教くさくなるしウザがられるのは明白なので口にしなかった。
でもあのままでは釣り師としての成長速度は遅いだろうな。おそらく。
やがて二人組が意を決したように言ってきた。
「もう先に行っていいですよ。僕らと一緒だと退屈でしょ。こっちはチンタラやってますから。」
釣りせずにただくっついて来るだけのおっさんに気を使ったのか、あるいは変な奴と思われて嫌気が差したのか。
何れにせよ、コンセンサスが取れたと判断して先に行かせてもらう。
と言っても直ぐ上に入るのは憚られたので1時間くらい遡行してから釣りを開始した。

高低差のある険しい渓相になっていたが、岩をよじ登りながら上を目指す。
あんま魚の付き場がない。
なだらかな滝状態なのだ。
大場所はなく、小さな釜中心に探った。

ようやくこの日の初釣果。
9寸弱の子だった。
入渓後既に4時間以上経っていた。
この間飼い主に「おあずけ!」言われた犬のように我慢し続けていたのだ。
「まあボウズじゃないから良しだな。」
そう僕は釣果より釣り師としてのモラルを重視した。
最後くらいちょっとご褒美頂戴(笑

それにしても渓相が険しい。
どこを攻めて良いのやらという感じ。
高低差、斜度がね、凄くてもはやルアー釣りが成立しにくい。
でも源流域はまだまだ先なんだよな。

この白糸滝には癒された。
「これを間近で見られただけで今日は十分満足。」
その直ぐ下だけ小さな河原ができていたのでランチ場所にした。

そして目標地点にしていた滝に到達。
これを巻くのはちと面倒いので終点にした。

滝壺ではなくその下の小さな溜まりで良い魚が出てくれた。
最後の最後にね。
黒くてイワナにしては精悍な佇まいの子だった。
泣尺だがワイルドな雰囲気がとても良い。
水溜りのようなタイトプールでも菅スプーンはちゃんと魚を誘えることも実感できた。
この日も菅スプーン縛りだった。
釣果は9寸2匹と、限りなくボウズに近かったが不思議と充実感があった。
先行者に敬意を払い、彼らとコミュニケーションをしっかり取ることで余計な軋轢を回避することは可能だと再認識。
見ず知らずとは言え同じ趣味を共有している人なのだから明るく話し掛けてみれば、そして相手を尊重しさえすれば、例え貧果に終わったとしても後味は悪くない。
要は損得では計れないものがあると言いたい。
川は逃げないのでマイペースで釣りできるタイミングにいずれ必ず出くわす。
今日がその日でなかっただけなのだ。

翌日はホーム水系の小渓流でのプラクティス。
スプーンの釣りをもっと練習して熟達したいのだ。
菅スプーンのポテンシャルは十分確認できてはいるが、まだまだ使いこなせているとは言い難い。
今シーズンまだ遡行していなかった渓を練習現場に選んだ。
スタートは10時過ぎとのんびり。

ネイティブのチビアマゴが僕の練習に付き合ってくれた。

アプローチ方法をいろいろ変えて渓魚の反応を探った。

瀬、釜、溜まり、複合要素のある地形など、1箇所ごとに俯瞰し図面を頭の中でひきつつアプローチに変化をつけて渓からの反応を探り続けた。

練習なので考えながら遡行するからスピードは遅い。
しつこく叩くのではなく、一投ごとに意味を持たせながらのスローアプローチ故時間がかかる。

そんな感じでもつ抜ける程度には渓魚を掛けることはできる。
殺気を消して無欲で(練習だから)やると釣れてしまうのは皮肉でしかないが、釣りってそう言うものである。

上流域の魚止めの滝。
これを見にくる観光客が居るが、道中まあまあ大変である。
ほぼ山行。

この子が最後の釣果。
8寸弱と一番良い型だった。

源流域まで詰めて(魚は居なかった)下山した。
ホーム水系での釣りは勝手知ったる現場のため緊張感が全くない。
次が予想できて不安なく遡行しているからだろう。
その分練習スタンスでのユルい釣行には向く。
8月以降の遠征計画は立てていないが、ホームでのプラクティスは継続して続けようと思う。
開けたエリアのアオノロがそろそろ気になり出したので樹林帯の中の渓が良いかな。