50年前、それ以前と以降というのは近代ボクシングと旧態を分けるボーダーかなと個人的には思っていて、例えばシューガー・レイ・ロビンソンは偉大だが近代ボクシング史にリストするわけにはいかない。
やはりね、昔(懐古趣味)をイメージするファイターなのだ。
ジョー・ルイスは言わずもがな。
アリ(クレイ)の台頭が近代ボクシングのスタートラインと言えなくもないのかな。
で、徴兵拒否によるブランクから意気揚々と復帰したアリがガツンとハンマーで脳天叩かれれて初の挫折を味わったのがフレージャーとの第1戦だった。
さしものアリも次にタイトルマッチに臨むまで3年半15戦を要する羽目になったのでした。
この試合を未見の若いボクシングファンはぜひ観て欲しい。
アリではなくフレージャーを中心にね。
左フッカーが決めパンチを当てるためにどうすべきかが良くわかる。
アリのフットワークには無駄な動きが多いが、フレージャーのボディワークは合理性しかない。
茶化しや誤魔化しは皆無という意味であり、逆にアリはそんなものばっかりなんだ。
外連味たっぷりなのは一般受けはするけど見る人によってはウザくて仕方ないものだ。
ボクシングの本質からはズレているものであり、派手で面白い=エンタメと捉えることには抵抗がある。
どっちが強いかを決める基準にはならないところが辛いところだが。
多分地力ではアリの方が若干上であろう。
実際ラバーマッチで勝っているし、オールタイムP4Pでも上位にランクされるのはアリの方だ。
それでも僕はフレージャーの方がより優れたファイターだと思っているし彼のファイトにはカタルシスを感じる。
それは好き嫌いの問題ではないと個人的に思っている。
判官贔屓ではないことを確認するためにも50年前の歴史的なこの試合を再見してみようと思う。