Date: 2017-03-18
Where: Madison Square Garden, New York, USA
Division: middleweight (160 lbs, 72.6 kg)
Title: WBA, WBC, IBF and IBO World middleweight titles
マッチアップ:★★★★
スリル:★★★
スキル:★★★
印象度:★★★
ゴロフキン、18連続KO防衛ならず。
惜敗したけどジェイコブスはうまく戦ったなあ。
戦術的に。
ダウンしても冷静さを失わずにキープ・ファイト・プランを実践できたのが良かった。
有効性が明確な戦術を持っている強みを確認できたもの。
先ずゴロフキンの強いジャブを牽制する意味のオーバーハンドライト。
速く鋭く合わせる右はあまり当たらなかったけどジャブにしつこく被せてくるのでジャブの手数が徐々に減っていった。
少なくともゴロフキンに警戒心を持たせることには成功していた。
いくら強くても、ジャブはジャブでしかない。
リアクションで被せてくる相手の右の方が絶対強いわけで、単調に左を伸ばしていたら危ないと思わせるだけで十分だった。
次にスイッチスタンス。
ぎこちなく見えたけどゴロフキンを幻惑できていたように感じた。(それは大げさとしてもやりにくさを醸してはいた)
ただのサウスポースタンスではない。
大柄で懐の深いファイターの半身の構えはやっかいだ。
ディフェンス面では十分プラスに機能していた。
ゴロフキンのオフェンスにいつもの迫力と追い込みがなかったのは、相手のスイッチスタンスに対応できていなかったからだ。
ゴロフキンの場合小細工なしに自身のストロングポイントをごり押しするスタイルなので歯車が噛み合わないままだとこんな感じなのだろう。
そしてサウスポーからオーソドックスに戻した瞬間すぐに右を打ち込んでいたのだが、これが有効だった。
体をひねることでタメができている上にスタンスをチェンジしてすぐのタイミングだから避けにくい。
それと体格差を利用したサウスポースタンスでの左フック(スウィング)がゴロフキンの右ストレートの外側から被せるように危険なアングルで入っていた。
アベル・サンチェスは気付いたに違いない。
ゴロフキンがいつもの感覚で無警戒に攻めに行くと相手のビッグパンチを食う可能性があることを。
だからコーナーでディフェンス意識を希薄にさせないように指示していた。
連続KO防衛の記録は作れなかったが、ある意味倒せなくて良かったのかも。
この試合のゴロフキンは最近になくディフェンスに気を配っていたからポカをせずに済み、ウィナーコールを受けることができたのではないだろうか。
ゴロフキンらしさは感じなかったけど勝つためには仕方なかった。
カネロ戦までは負けられないからね。