Saturday 4, December 2021
MGM Grand, Grand Garden Arena, Las Vegas, Nevada, USA
Commission Nevada Athletic Commission
Promoter Devin Haney, Eddie Hearn
Matchmaker Kevin Rooney Jr
Media DAZN
マッチアップ:★★
スリル:★
スキル:★★印象度:★★
スコアはだいぶ差がついていたが、観戦中の印象はもっとクロスした内容だった。
各ラウンド、わずかな差でヘイニーが上回ったということだろう。
競ったラウンドをものにできるということは大事なのだが、逆に言うと明確な差をつけることができなかったとも。
激しい打ち合いのクロスファイトであれば観客にカタルシスを与えられるのだが、この試合のように盛り上がりどころに乏しい試合(ストーリーがない、ただのペースの取り合い)のフルラウンド観戦はライト層にとっては苦行かもしれない。
なかなか試合に入り込めないこういうケースではついつい粗探しに勤しんでしまう。
ヘイニーにフォーカスすると、
うーん、まずパンチがない(笑)
関節に柔軟性があり、しなりというかドライブを生かした打撃フォームなのだが、どうにもコンタクトパワーに乏しい。
だからメリハリもなく、また手数が出るわけでもない。
ジャブ以外の所謂パワーパンチを全て同じ力と単調なタイミングで打っているのでコンビネーションとしての機能性が残念なくらいないのだ。
北米の黒人ファイターにほぼほぼ共通した特徴なのだが、運動能力(スピードとキレ)やパンチングパワーで相手を凌駕しデメが露出しないので気にならない猛者も多い。
ヘイニーの場合は柔軟性のある戦術(L時ガードになったり、逆にガードを固めたり)と身体的資質を強みにしている感じだろうか。
彼にお手本にしてほしいレジェンドファイターがいる。
メキシカンのサルバドール・サンチェスだ。
柔軟なカウンターパンチャーという部分で資質的な共通点を見出せる。
最大の違いは足さばきだが(サンチェスはフットワーカー、ヘイニーはベタ足)そこは無視して良い。
フォーカスすべきはコンビネーションブロー属性だ。
サンチェスのコンビネーションの核になるのは左フックなのだが、右はチョッピングブローでお世辞にも威力があるとは言えないしろもの。
ただ軌道が右ストレートと違うためか的中率が良く(威力はないが)案外やっかいなパンチでケアせざるをえない。
このチョッピングライトと左の上下打ちをミックスしたものがサンチェス独特のコンビネーションなのだが、最終的には左フックの返しを決めパンチにして、パンチングパワーの割にそこそこ倒しているだ。
参考にすべきは肝の部分で、左右のストレート、フックともにキャラと役割を与えて最終的にどうしたいのかと言う部分の説得力を明確にすることが大事。
サンチェスの場合は、返しの左フックを当てるまでの段取りができているのだが、
ヘイニーの現状にはそれがなく、当たりそうなパンチを漠然と出しているだけだ。
もっとハンドスピードとキレがあれば余計なこと考える必要ないのだが、彼の場合そうでないでしょ。
ディアス戦を観ていて、左フックをあまり(打ってはいるのだが)効果的なタイミングで使っていないことが気になり、サンチェスのファイトスタイルが思い浮かんだので感想に織り込んでみた。
まあ伸び代はあると思うので今後に期待したい。
器用なのは解るのだが、もうちょっとアイデンティティを明確にしてキャラが立てば客を呼べるファイターになれるかもだ。
見るたびに思うのは、
「なんか惜しい奴だな。」