Date: 2017-08-05
Where: Microsoft Theater, Los Angeles, California, USA
Division: super featherweight (130 lbs, 59.0 kg)
Title: WBO World super featherweight title
マッチアップ:★★
スリル:★★
スキル:★★★
印象度:★★
結果だけ先に知って、いつものロマチェンコのワンサイドゲームを想像したが、
実際に試合を観たら、まあほぼそれなんだけど。
さて、問題!
アマスーパーエリート出身技巧派サウスポーのタイトルホルダー2人、
ギジェルモ・リゴンドウとワシル・ロマチェンコ。
リゴンドウにはあり、
ロマチェンコにはない長所は?
そう、一撃で仕留めるパンチングパワーの有る無しを比較した。
リゴンドウの試合にスリルはないけど、彼はパンチがあるよね。
手数が少なすぎるので魅力半減なんだけど。
マリアガを一方的に打ちまくったロマチェンコだが、
なんと言うか、パンチのなさを手数で補っているというかカモフラージュしているというか。
5発軽打を打ち込むロマチェンコに対して、マリアガの右フック一発の反撃の方が威力を感じた。僕は。
その一発はほとんど当たらないので効果はないのだけど。
もし当れば相手に与えるダメージの度合いが全然違う。
ハードヒッターというのは先天的な資質なので、努力してどうこうなるものではない。
パンチが有るのか無いのか。
ロマチェンコは無い。
ただそれだけのことだが、
相手にとって付け込む余地が皆無なファイターではないと思う。
最近は『肉を切らせて骨を断つ』戦術をほとんど見かけなくなったが、
かつてのホルヘ・カストロのようにタフネスを武器に相手に打たせて一発ねじ込む隙を窺うようなことをしてみてはどうか。
極論であり今時ナンセンスなことは承知しているが、ロマチェンコ程度のパンチなら多少は誰でも耐えられるはず。
つまりワンサイドの状態をどこまで我慢できるかだと思う。
それとロマチェンコの隙を見極めることができるかどうか。
キーは彼の上体の向き(半身にならずに正対しようとする)と下半身との連動が止まった瞬間(足が揃い正面に向き合ってしまう)だろう。
ロマチェンコが相手をロープに詰めてパンチをまとめている時、不慣れなというか無理している感ありありというか、妙にぎこちなさを感じるのだ。
ナチュラルボーンファイターではないが故相手の反撃を想定してオフェンスしていない。
例えば、ロベルト・デュランは打ちまくりながら相手の反撃を常に想定していて隙がほとんど無い。
ロマチェンコは中間距離では破綻する要素がほぼないが、客受けを意識したよりオフェンシブなスタイルを模索している感があり、その点ではまだまだ未成熟だ。
もちろんプロなのだからよりスターボクサーを目指してステイタスアップを図るにはその道しかないのだから、意識としては肯定したい。
ただカウンターの怖さをあまり感じ無いのが気になる。
高度なスキルに基づいた手数で相手を圧倒する今のスタイルも悪くはないが、そのままではいずれボクシングファンに飽きられるだろう。
メリハリをつける意味でも手数を時にためて抜群のタイミングでのカウンターというのも見てみたい。
正直僕は彼の今のスタイルに飽きている。