ショートレビュー オルティス-トンプソン

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Date: 2016-03-05

Where: DC Armory Washington, District of Columbia, USA

Division: heavyweight (over 200 lbs, 90.7 kg)

Result: Luis Ortiz def. Tony Thompson (KO at 2:29, round 6) 

 

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BoxRec

 

マッチアップ:★★

スリル:★★★

スキル:★★

印象度:★★

 

ヘビーウェイトにおいてサウスポースタンスが何故希少種なのか?

それはこのクラスが特殊だから。

基本的にスキルよりもパワーが重視され、小手先の戦術よりも腕力比べ耐久力比べ的要素が他の階級に比べて濃い。

観客がそれを求めるということもある。

大男が殴り合うというブリミティブかつシンプルな絵図らを期待しているのである。

これはエンターテーメントを求めるノーマルな姿勢であり本能的に強い刺激を求めているだけ。

よってテクニックを屈指する(ように見える)サウスポーは受けが悪いという、ただそれだけの理由。

珍しいサウスポーヘビーウェイト同士のマッチアップ。

彼ら二人はテクニカルなのか?

オルティスをそう見る向きもあるようですが、基本がしっかりしているというだけで決してテクニカルなタイプではない。

左に決め手があり、それをいかに当てるかというシンプル極まりないスタイル。

ヘビーウェイトの山中慎介ですわ。

山中は右利きのサウスポーですがオルティスはどうかな。

多分左利きでは。

右手の使い方を見ているとね。そんな感じがします。

 個人的に今年のボクシング界における戦術のキーワードはスイッチスタンスにあると思っています。

かつてマービン・ハグラーがそれで成功しましたが、フォロワーは乏しく、敢えて挙げればナジーム・ハメドくらいでしょうか。

難しいのですよ。

相手を幻惑する、あるいは戦術に幅をもたせるという程度の意味合いでスイッチするファイターは沢山います。

コットなんかよくやりますよね。

でもね、逆構えで倒しきってしまうというのは稀。

ボクシングはタイミングのスポーツですから偶然上手くコンタクトして倒すことはあっても意図的にそれができるかというと、まあ難しいのです。

技術的な大きな壁だと思います。

その壁を壊しつつあるのがテレンス・クロフォードです。

彼は最初から上手くできたわけではないです。

実戦で徐々に磨き上げてきているのがわかる。

それも結構短期間に。

能力の問題もあると思いますが、やはり向上心の問題が大きいのではないかと。

脱線しましたがオルティスは良いサウスポーだと思います。

戦術の幅は狭くてもサウスポーのメリットを生かしてますからね。

もし彼がオーソドックスだったとしたら、果たしてここまで成功できていたか?

多くのボクシングファンが「No」と答えるでしょう。

つまりそれがヘビーウェイトでサウスポーが市民権を得られない根本的な理由なのです。