久しぶりに映画館で邦画を鑑賞してきた。
チョイスした作品は『夜空はいつでも最高密度の青空だ』
ということで、ストーリーは曖昧で解釈自由のスタンスだろうと想像はできた。
本作のマニアック度は3段階くらい上がっていて、画を観て楽しむ感は増していた。
オリンピックを控える今の東京(渋谷と新宿は嫌いと地方出身のヒロインに言わせているが、基本的にそこが東京の象徴と言いたいのだろうけど)を舞台にしたラブストーリーでもある。
変化球恋愛映画を好む僕に受けたのだからそうなのだろう。
ところで上の写真は上映前の館内だ。
平日のレイトショーとはいえ、お一人様でスクリーン独占かと期待したが 、開始直前に2人の客が入ってきた。
それでもカップルの下らない会話やポップコーンのにおいを気にせずに鑑賞できるのはありがたい。
特にこういう淡々とした作品の時は。
スクリーンに集中したいからね。
実際凝った映像で、顔アップを多用(石橋静河の肌が綺麗だ)して感情表現(ネガティブなものが多いが)を巧みに写したりアニメを入れ込んで幅を持たせたりしている。
この手はやはり映画館の大スクリーンで観るべきなのだ。
あとはお代を出す価値があるかどうかだが、2時間弱の大人が楽しめるエンタメとして十分だと思う。
曖昧でいかようにもとれる作品なので物語の起承転結やドラマ性を期待する向きにはあまりお勧めできないが。
キャッチの写真に渋谷の街中をヒロインがチャリで疾走する写真を使ったのは、何かを象徴している気がしたから。
彼女は地元の田舎で生活しているときと同じように繁華街でもチャリを漕ぎつつ周りの人に同調しないようにしているようにも見えるし、
つまり自分の都会でのスタンスを確認するため、あるいは都会の喧騒に埋没しないためにそうしているような。
そして石橋静河の妙にアスリートな動きのキレが都会の雑踏とのコントラストを助長しているように感じた。
池松壮亮をはじめキャスティングされた役者は皆上手い。
特に田中哲司の演技は秀逸だ。
あまりにも自然で演技をしている感がないのに少し驚いた。
作品の中でもユーモラスな駄目キャラとして良いアクセントになっている。
全体的な作品の完成度という意味ではやや物足りなさも感じたが、
役者の演技で楽しめたし、
凝った映像でもそれなりに楽しめたし、
他の商業路線の観る価値の乏しい邦画に比べれば格段に優れた作品ではある。
DVDが出たら再見しても良いかな。