フルラウンド観戦しましたので自分也の感想を。
僕がサウスポーのボクサーを観る時にベンチマークする対象はマービン・ハグラーです。
子供の頃、リアルタイムでハグラーの試合を観ていたときに『強くて優れたサウスポースタイルのスタンダード』として彼の試合ぶりが刷り込まれています。
ハグラーのファイトスタイルは見栄えがいいし、最後は必ず倒しますからリング上で展開されるストーリーがとても解りやすかった。
納得できる戦術を披露してくれるので模範的な教材だったようにも思います。
アドニス・スティーブンソンをハグラーをベンチマークしつつ観ていると共通する長所が垣間見えるんです。
勿論同列に論じるつもりはないですが、朧げながら似ているところもあるかなと。
今回のフォンファラ戦でその感を持ちましたね。
スティーブンソンはハグラー的なスマートさを持っているように思います。
先ずディフェンスがしっかりしている。
ハグラーに比べたらガードは低くラフに構えているんですが、その分防御勘は優れていてクロスレンジでもヒョイヒョイとかわしてます。
フォンファラ程度の手数ではちょっとパンチが当たりそうも無いくらいです。
反面耐久力には疑問符が付きますけどね。そこはハグラーに及ぶべくも無いところ。
ハグラーはタフでしたからね。
この試合のスティーブンソンは前半はアウトボクシング中心、ダウンを食った後の後半はインファイト中心と大幅に戦術を変更しています。
まあ結局フォンファラの追い足がそこそこ速く、かつ長身のストレートパンチャーだということを鑑みて戦術を変更したのかなと。
別に倒しにいったわけではなさそう。
前半のロングレンジの攻防というのが本来得意なスタイルだとは思いますが。
今まで倒しっぷりが良かったために隠れてますけど、本来は攻防のバランスの取れたスキルフルなボクサータイプ。
フルランド観ても飽きずに楽しませてくれます。
さてハグラーを取り上げたので彼の試合も続けて観ました。
フリー・オベル戦。
ハグラー28歳、全盛期でしょう。
当時のメジャータイトルマッチは15回戦だったにもかかわらず、この手数。
試合の密度が全然違う。
ごめんなさい、スティーブンソンとはモノが違うわ。
ハグラーは長身のボクサーを攻略するのが上手でした。
Ex. アラン・ミンター、トミー・ハーンズ、そしてこのオベルメヒアスと。
相手の体格的な利点を消し去ってしまう。
それはやはり距離のマネジメントの上手さ、言い換えれば戦術の柔軟性があるから。
そしてショートパンチとロングパンチの使い分けの妙。
176cm程度ですから背は高くないですが、リーチは長くてそれを生かして距離をコントロールできるところが強みです。
ダウンをとったショートの左フックのアングルがたまりません。