End of career

パッキャオとの第4戦、マルケスの39歳という年齢がネガティブ要素として試合前にメディアでクローズアップされていました。
確かに普通のボクサーならとっくに引退していて然るべき年齢です。
ボクシングというやや特殊な競技は一般の人が気軽に参加できるものではなく、相手の体にダメージを与え合うという残酷な一面も持っています。
そのため年齢はボクサーの能力を測るとても重要なパーソナルデータという一般認識があります。
ただ不摂生をしている25歳はストイックに体調管理している40歳より体が動かないでしょうけどね。
まあ、ボクサーは総じて体調管理に余念が無いという前提ではありますが。
飲酒、タバコご法度は当たり前ね。


西岡利晃が引退会見で話していたこと、
「試合に勝ったときの喜びは何事にも代え難い。この先の人生でそれ以上の喜びと感動があるとは思えない」
云々がとても印象に残っています。
尋常ではない達成感なのでしょう。
そこに至るまでの道のりが険しいのがわかっていても再度味わいたくなる高揚感。
これって一種のジャンキーなのかしら。
ボクシングで身を立てた人にしかきっとわからないのでしょうが。

ボクシングファンはスターボクサーが全盛期を過ぎ、加齢によるパフォーマンスの低下が如実にも拘らず試合に出続ける様を苦々しく観ていることがあります。
例えば、シュガー・レイ・ロビンソン。
彼は44歳でグローブを壁に吊るしますが、その年なんと14試合も行っています。

http://boxrec.com/list_bouts.php?human_id=9625&cat=boxer

例えば、ロベルト・デュラン
40歳を過ぎてから26試合もやっています。


http://boxrec.com/list_bouts.php?human_id=80&cat=boxer

そして未だに引退の声が聞かれないロイ・ジョーンズJr。
40歳を過ぎてからロシアやポーランドくんだりまで出かけてローカルホープとファイトしてます。

http://boxrec.com/list_bouts.php?human_id=1758&cat=boxer

ちょっとプロレス的な匂いまでしてくるキャリアストーリーですが、まあ声が掛かれば試合しちゃうんでしょうね。
持ち上げる輩はいくらでもいるでしょうから。

ボクサーのフィジカルコンディションと加齢との関係はそのボクサーの能力によってもかなり変わってきますよね。
基本的にディフェンスの下手なボクサー(あるいは攻撃意識過多でディフェンスをサボるタイプ)は被弾が多く、肉体にダメージを宿しながらキャリアを積み重ねますから、体にガタが来るのも相対的に早いでしょう。
一方フロイド・メイウェザーJrのように毎試合ほとんど打たれなければダメージの蓄積も少ないでしょう。
ですから一概にボクサーの肉体的なダメージを年齢や試合数だけで測るのは無理があります。
マルケスも若い頃からディフェンス力には定評がありましたし、キャリアの割には肉体のダメージは少ないのかもしれません。
それとファイトスタイルを検証した場合、マルケスにせよ、ロビンソンにせよ、デュランにせよ高いスキルをストロングポイントにしていたことも共通しています。特に攻防のバランスの良さが際立っています。デュランは若い頃は好戦的なファイターでしたが攻防が連動したスタイルによりディフェンス力も兼ね備えていましたからね。
前途有望なボクサーのキャリアを俯瞰したとき、長く活躍できるかどうかの1つの判断材料としてディフェンススキルが高いかどうか、そしてオフェンスとの連動性や切り替えのスムーズさがあるかどうかをチェックするべきでしょうね。