オーランド・サリド vs ファン・マヌエル・ロペス

<WBOフェザー級タイトルマッチ プエルトリコサンファン

メキシカン対プエルトリカンのマッチアップはボクシングファンに特別な高揚感を与えます。
クラシックファイトを幾度も繰り広げてきた両国のライバル関係は、近代ボクシングの特に中軽量級の歴史のなかの大きなトピックになっています。
サリドとロペスの連戦はメキシコvsプエルトリコならではの醍醐味を感じることが出来るのものでした。


サウスポーのプエルトリカンスター、ファンマ・ロペスは好戦的なハードヒッターで過去対戦相手を力でねじ伏せてきたのですが、最近は緻密さにかける戦いぶりが目に付き、決して出来の良い試合をしていたわけではありません。
基本ファイタースタイルなのですが、何故か急にアウトボクシングをして相手を捌こうとすることがあり、僕はその理由がコンディションに問題を抱えているからなのだろうと思っておりました。
違いますね。
戦いにくい(組みしにくい)相手の時はアウトボクシングをするんですね。単純に。
相手がパワフルだからというのではなくて「やりにくいから」そうなるみたいです。
つまりメンタルの問題なのでしょうか。弱気になるというか慎重になるというか。
それは戦術に柔軟性があるからではありません。もっとネガティブな理由です。
歴戦の兵サリドは打ち合いに滅法強くて、誰が相手でも打ち合いになれば一歩も引かずにファイトできる、そんな選手ですね。
ロペスはハードヒッターにありがちなのですが、インファイトの時は打つことしか頭になくて、自分を護る訓練ができていないのではないかと思います。
一方のサリドはディフェンスの意識を持ちつつアタックしていますから相手のベストパンチは当てさせていないんです。
ホセ・ナポレス並とは言いませんが攻守の連動性もあるんです。つまりブロッキングよりもヘッドスリップ、ダッキングスウェーバックで避けて、その動作が次の攻撃の予備動作として機能している。
だから相手に打ち負けない。
ファンマはそれができないので結局サリドに打ち勝てない。
ですから勝敗を分けているキーはディフェンス力なんです。
訓練で運動神経にインプットされた防御勘があるのかないのか。

ロペスにとって連敗はキャリア的に大きなダメージかもしれませんが、逆に糧にしてより魅力的なファイターになってほしいです。
アウトボクシングは様にはなってますがはっきり言ってカッコだけです。
ジャブはない。フットワークも単調。カウンターも狙えないではサリドを捌けないですよ。
アウトボクシングを磨くのならトレーナーを変えるなりしないとダメかもね。