メーカーがアスリートの呼称を取り去ってしまったことを遺憾に思う。
いや、サスペンドタイプはアスリートのままか。
他メーカーがベンチマークしようともしないほどの完成度を誇るアスリート。
ラパラのカウントダウンと共に孤高の存在のはずだが商業的には成功していないのかもしれない。
量販店で普通に扱っていないのだからそういうことなのだろう。
妙に扁平で背の張ったタイプがトラウトマーケットの主流だからね。
その手はヘビーシンギングでも小刻みに良く動くので手応えがあり(要はリップのあるバイブレーションだ)今日日のアングラーには受けるのだろう。
でも僕は瀬釣りではアスリートが一番という思いがあり、トラウトチューン(ネーミングなんとかならんのか)のポテンシャルを確認すべく週末本流へ釣行した。
試したのはHWタイプ。
55mmサイズで6gあるので良く飛ぶ。
そのためメインロッドのフェンウィック61にはマッチし、川幅のある本流エリアでもフルキャストすると対岸沿いが射程になるほどだ。
アスリートとは思えないほど飛ぶことは単純にメリット。
風にも強く、アゲンストでもバックラッシュしなかった。
こんな感じの現場では飛距離が出ないプラグは使いづらい。
このロケーションで対岸沿いが狙えることに感心した。
CDE55では届かないラインを流して食わせることができた。
魚にプレッシャーを与えないようにあまり立ち込まないようにするのが常套だから立ち位置から遠いということは、ある意味竿抜けでもある。
飛距離のアドバンテージを感じることができた瞬間だった。
僕が一番試したかったのは本流特有のこんな感じの広い瀬だ。
CDE55も使えないことはないが、水面上下問わず点在する多数の石を舐めるように回しながら複雑にラインどりするのがムズい。
水を噛み過ぎるためギクシャクしてしまうからだ。
その点アスリート55HW(トラウトチューン呼称はダサイのでこう表記する)は達者である。
HW仕様でもアスリートの利点である瀬での使い勝手の良さを十分感じることができた。
一度食わせ損なったが再アタックしてきて食わせることができた綺麗な個体。
瀬釣りはこれがあるから良い。
普通は2度目無いんだけどね。
気温が上がって魚が徐々に瀬に付き出しているようだ。
カワウ害のため魚影は薄いけど。
ピンクバックは瀬釣りではベストチョイスだと思う。
かなり遠目にもプラグの所在と動きが確認できる。
そのためサイトフィッシングの醍醐味を味わえるのだ。
この日最大と言っても8寸だが、アスリート55HWをガンガン瀬でドリフトさせていたら食った。
逆引きで水面を飛び出さない点も優秀。
わざわざカウントダウンしなくても(沈めなくても)飛び出さないバランスがあるから水中姿勢が良好なのだ。
速い流れに強く(僕の知る限り最強)アップもダウンもOKのオールマイティー。
欠点の少ない万能ボクサーだったマービン・ハグラーのようなプラグである。
HW故の欠点を一つだけ挙げるとすると、根掛かりしやすいことか。
釣行中3回やばい根掛かりした。
2回は超怖い渡川をしつつ回収した。(水深はへその位置だが流れが速く川底は苔の生えた石がゴロゴロでスリッピー)
1回は危な過ぎて回収に行けず、切れたら諦めるつもりで強引に引っ張って回収できた。
0.8号PEだから多少の無理が効いた。
このまま55HWを本流の広い瀬で使っていると間違いなく無くすだろう。
根掛かりする度にポイントを潰したり時間ロスすることは問題だ。
3.5gのシンキングモデルもウェイトチューニングするなりして試してみるかな。
飛距離のメリットはなくなるだろうが、よりテクニカルな瀬釣りができるだろうから。
僕が本流でアスリートをチョイスした理由は、フィールド属性のためにあまり釣れなくてもプラグを操作すること自体を楽しむことができるからだ。
たとえ2時間に1本しか釣れなくても、数百投に1回のバイトでも集中力が切れないのはそのため。
あまり大らかな釣りではないが、僕は十分楽しめている。
逆に簡単に魚をみつけられる(誰でも釣りやすい)とアングラー(特に他県からの)が増えるのでそれはそれで地元組にはストレスなのだ。
中々釣れない渓魚を考えに考えて見つける醍醐味は、一旦経験すれば他に変え難いと感じるはず。
歩き疲れた釣り師を労ってあまりあるほどに。
簡単に釣れる魚を所望なら僕のホーム本流はひたすら厳しいだけで楽しめない。
早起きして遠くからわざわざ来てお金払ってぼうずでは確かに気の毒だと思う。
まあ考え方次第ではあるが。
こんな感じの瀬で魚が出たら本当に楽しいよ。
簡単に出ないけどね。
綿密に探って探って、ついに見つけた時の喜びたるやイージーフィッシュゲット時の100万倍だし、経験値の蓄積はそれ以上だと思う。
本流はメジャーなエリアなので現場で他のアングラーに頻繁に会うが遠征者はほぼノーバイトのようだ。
「全然ダメ」
という言葉ばかり聴く。
「本流は難しいから支流に行ったら良いよ」
と言いかけるが言葉を飲み込む。
僕は漁協の監視員なのでアドバイスしてあげるべきなのかもしれないが、
本人が好きでやっているのだから余計なお世話に違いない。
支流に行けばこんなチビたんがちゃんと相手してくれる。
追いも多いので集中力も維持できるだろう。
実は日曜日は連チャンで本流に挑む気力がわかず支流でお茶を濁した。
チビたんが沢山釣れて癒されました。
ハッチを多く見かけたので今度はテンカラを試そうと思う。