About plug

 

渓流釣りにはエサ釣り、テンカラ、フライ、ルアーがあるが、

他の釣法と比較してルアー釣りの強みは機動性とアプローチの多様性だろう。 

渓流釣りを始めたばかりの頃、あまりにもシビアな渓魚の反応に嫌気が差してルアーは向かないのではないかと思ったときがあった。

そう思ったのは渓魚の食性とかけ離れた疑似餌を使っていることから。

それまで僕はベイトを根拠にプラグをセレクトするのが常套だと思っていたし、そのフィールドで対象魚が何を主に食っているのかを知らずして釣りが成り立たつはずがないと信じて疑っていなかった。

だが実際、プラグとベイトはそれほど似ていない。

どちらかというとベイトと対比させると違いすぎているが故に目立って注目される。

仲間はずれを演出しているとも言えるのだ。

ナブラが立ち、フィシュイーターがベイトの群れを狂ったように襲っている時ってプラグは無視されがちだ。

「捕食しているものと違う」ということがデメリットになるケースだ。

目立たそうとすればするほど相手にされなかったりする。

 本能を解放して本気でスイッチを入れて捕食活動をしているフィッシュイーターにとってプラグはただのゴミに成り下がるのではないか?

見分けが付くとかそういうレベルではなく、眼中になくなってしまう。

 だがご馳走を目の前に並べられ、いざ捕食スイッチが入る前のニュートラルな状態、

「いただきます。」

の前段階では、プラグもエサとしての選択肢の一つとなりうる。

 だからエサと似ていなくても捕食本能を刺激する動きや明滅などの要素が効いて興味を持つ。

個体のその時の状態(高活性か否か)により躊躇なくバイトしていることもあるし、追いかけくるだけで見切ってしまうこともある。

つまりプラグは見た目の似たリアルベイトである必要はなく、渓魚に対して効果的な集魚要素さえ持って入れば良い。

そう考えるといろいろ割り切って考えることができる。

そもそも疑似餌釣りって自然相手の実験みたいなもんだから。

いろいろ試してみないとわかることもわからない。

ガイドラインから外れることで新たな発見が必ずある。

これは僕の長年の釣りの経験から言えることだ。

ルアー釣りは他の釣法に比べて圧倒的な多様性があるが故に確立されていないことが多い。

だから一般論や他人がもっともらしく断定していることを鵜呑みにせず自分なりに試行錯誤すべき。

実験が面白いか否かでこの釣りにハマるかどうかが決まると言って良いのだから。

 

支流ラリー9週目のウィークデー釣行分。

未アテンド3つの中で本流最下流エリアに合流する支流に行ったのだが、

一応放流の実績があるからリストに加えたのだけど、

こりゃ無理だわ。

平地を流れている川なので普通に車で源流まで行ける。

全域護岸させていて渓流釣りの趣は皆無。

町中を流れているドブ川と何も変わらない。

集落が川沿いに上流域まで続いているため水質は悪く、遡行はご遠慮願いたい。

ということで白旗。

リストから外すことにした。

そのため全16支流に対象を変更。

時間はまだあったので未アテンド残り2つの内、本流のより下流側で合流する支流に行ってみた。

事前に最も厳しいであろうと想定していた現場だ。

「魚居るのかな?」

そんな不安しかなかったのだが。

  

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下流域で放流の実績があるのだが、とても釣りする気にならない町中のドブ川だった。

「この川もダメか?」

半ば諦めつつ上流エリアに行ってみた。

低山帯のためアクセスは良好で駐車場所もすぐ見つかった。

上写真がエントリー場所だが、まあまあの渓相である。

「もしかして居るかも。」

少しだけ期待が膨らむ。

 

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魚は意外なほどあっさり見れた。

 

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1匹目から20cm upで視界良好。

 

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2匹目が出るのにも時間はかからなかった。

23cmくらい。

誰にも荒らされていない現場なのでスレ知らずな感じで食いが良い。

プラグを追ってくるのではなく躊躇なくアタックしてくる。

魚影が濃いという感じではないが魚を見つけることは難しくなかった。

 

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ただ川面に木が覆いかぶさっている場所が多くキャストは困難を極めた。

提灯釣りくらいしかできそうもないロケーションばかり。

そのため魚は居るけど手が出せない状況がしばらく続き、ブッシュを掻き分けながら遡行するのが精一杯だった。

 

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それでも何とか3匹目。

24cmくらい。

不思議とチビが釣れないし追ってもこない。

ブッシュが濃いエリアを抜けるとまた渓相が変わり本格的な渓流になったのだが、逆に魚はチビばかりになった。

飽きるほどチビを釣ったが、全部15cm以下だった。

源流近くまで遡行したが良いサイズは出そうもなく、

 

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最後に釣った18cmくらいがサイズ的には限界という感じだった。

それでもまさかの初訪で条件クリアだったので満足ではある。

本当にまさかの魚影だった。

多分自然繁殖のサイクルがうまく機能しているのだろう。

だから放流量が少なくても一定の魚影を保てているのではないか。

不人気というより誰にも知られていないだろうからアングラーが入って抜いていくこともないだろうし。

この川は穴場かも。

極めて遡行はしにくいけど。

禁漁前にもう一度くらい来てみよう。

その時はサイズ狙いで。 

 

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土曜日は終日雨降りだったので休竿日にした。

雨がどうこうではなく水位が高すぎて釣りにならない。

日曜日は唯一残っていた未アテンド支流に行った。

一応これで全16支流釣行したことになる。

低山帯を流れる川で全長はそこそこ。

下流域は田園地帯を形成しており、鹿よけの囲いでガッチリ覆われているため入渓しにくく渓相も良くないのでパス。

上流へのアクセスは農道になるのだが道が狭く整備されていないので車で行けるところまで行ってその後は歩いて登っていく。

道というより藪に近い。

2m級の草ボウボウで前が見えないため道を歩いているのどうかも定かでない。

川までは更に深い藪を越えていかなければならないため、藪漕ぎしつつ入渓できそうな場所を探す。

ようやく藪を抜けて林のエリアに出れたのでそこから川を目指す。

ヘビーな藪漕ぎの末入渓できたのは車を降りてから1時間後だった。

こんなところ誰も来ないだろうな。

魚が居ればパラダイスだが。

 

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魚は居るには居た。

ただ濁りが酷いので平水時ならもっと釣りやすかっただろう。 

 

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プラグはイメル50Sをメインに使った。

というかドチャ濁りの中で目立つ派手めなカラーがそれしかなかったから。

アピールカラーが好きではないのであまりもっていないのだ。

 

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飽きない程度に釣れるのだがチビばかり。

完全にイチマルループにはまってしまった。

こうなるとまず良型は出ない。

 

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良さげな瀬が一箇所だけあったのでフローティングミノーをそこでだけ使った。

アスリート55S FHはサスペンド設定のはずだが、個体差の関係でフローティングだった。

開封して直ぐ水に入れたら浮いた。(笑)

まあ良い感じのスローフローティングなのでフックを変えて若干の重りを貼って調整しサスペンドに限りなく近いスローフローティングという微妙な浮力に設定して使っている。

流石名作アスリート。

良い仕事をするプラグだ。

魚力そこそこだが、流れの中でもゴミ化せずに生命感を宿す。

 もうこの川には来たくないという思いから必死に良い魚を探したが結局チビしか釣れず追試決定。

魚を追って源流近くまで遡行してしまったため帰りがめちゃくちゃ大変だった。

藪漕ぎと崖の登り降りを嫌という程やった末何とか駐車場所にたどり着いた。

こんなヘビーな藪漕ぎは久々だ。

林ではなく藪ばかりの山はメッチャ移動しにくい。

しかも鋭い棘のある植物が多いものだから尚のこと。

疲れたしそのまま帰宅しようかとも思ったのだが、近場でまだ条件クリアできていない支流があるので帰りがけに寄った。

気になっているポイントがあり、そこだけチェックするつもりだった。

 

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大きな橋下のオープンウォーターエリアで前回釣行したとき良型をバラしていた。

左岸側に流芯が走っており立ち位置はインサイドベンド側になる。

上写真のグリーンに見える部分が流芯で流れは速く水深もある。

渓魚釣りというより本流の遡上マス狙いのようなロケーションだが、

実は遡上マスが居る可能性がゼロではないと思っている。

昔は沢山遡上していたそうだから。

だからメソッドもどちらかというとそっち寄りで試してみたかったのだ。

そして平水よりは増水時の方がチャンスがあるのではないかと。

あえてフローティングミノー(アスリート55S FH改)でU字引きしていると、流芯からやや外れた緩流帯で食ってきた。

 

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遡上マスではないが、大きさの割にパーマークが消えてスモルト化しつつあるような本流で釣れそうな見た目の子だった。

25cmくらい。

やっぱりこの川は他の支流と違う。

ポイントを絞って通い込めば遡上マスがもしかしたら出るかもしれない。

瀬での食いつき優先のため3ポンドリーダーを使っているが、それだといざという時泣きをみることになりそうなので今後この川で釣行するときは8ポンドを使うことにしよう。

 

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で、もう1匹良型を追加。

28cmくらい。

プラグは同じくアスリート55S FH改。

うーん、ようやく支流ラリーのハイライト来たという感じ。

何よりオープンウォーターでフローティングプラグで狙って出たということに満足。

短時間で良い魚を2匹出せて上機嫌で帰宅した。