ホラー映画の恐怖度をレイティングしているサイトがある。
僕はホラー映画好きだがこのサイトで高評価されている作品をあまり観てない。
この機会に未見のホラー映画をまとめて観て自己評価とサイトのレイティングを比較してみようかと、暑気払いも兼ねて。
睡眠時間を削って観たことと内容的にキツい作品もあったことで6本で力尽きましたが。
[ REC ]
ホラーどうこう以前にスペイン映画をほとんど観たことがないためかな、なんかね、演技が一々大げさで辟易させられた。
主人公の女性リポーターのヒステリックさの方が逆に怖い。
アパートに閉じ込められて以降、相棒のカメラマンに指示(文句)ばかりで 、
「おまえ五月蝿いよ」
としか思えず、他の恐怖描写を全て打ち消してしまった。
ハンディカメラのブレブレ映像がそれに輪をかけた感じ。
正直全然怖くなかった。
Rating : 4.0
Hostel:PartⅡ
本当は『Hostel』を借りるつもりが間違えてPartⅡの方を借りてしまった。
ケースを開けて気づき、テンションガタ落ち。
そのため一気に期待値のハードルが下がったのが幸いした。
面白かった。怖さは後からジワジワくる感じ。
えげつないゴア描写がクライマックスパートにあるにはあるのですが 、怖さの本質はそれではなく、ストーリー設定そのものにある。
東欧(スロバキア)という日本人はもちろんだが米国人にも馴染みがない舞台が実はキモ。
国家の分裂やら内戦後の混乱やら移民の問題やら、ぼんやり輪郭のはっきりしない社会不安というかカオスというかコンプライアンスの欠落したダークサイドの存在というか、そういう負のイメージ(スロバキアの人ごめんなさい)が恐怖感の背景になっている。
つまり本当にこんなヤバい連中が居そうな気にさせることが怖いのである。
リアリティというのは恐怖の本質に成り得るということ。
拝金主義の怖さも描かれている。
クエンティン・タランティーノが制作総指揮でクレジットされているので、
なるほど凝っているということか。
Rating : 7.9
Cannibal Holocaust
『Cannibal』人食のこと。
『Holocaust』は虐殺。ナチスを連想するが蛮行の極み的な意味合いだろうか。
内容はタイトルそのまんまですが、全体的にはフェイクドキュメンタリーのような作風。
8mmフィルムの画質が悪いのを逆手にとってゴア描写の迫力を出していて、本当に気持ちが悪い。
自分で観ていてなんですが、こんなものを面白がって観る人は、うーん、どうなんだろう。
心理的恐怖感は皆無で、白人4人がヤマモモ族に虐殺され食われるシーン以外はホラーというよりドキュメンタリー作品を観ている感覚だった。
Rating : 6.5
Hostel
パートⅡを先に観てしまい、それが面白かったので今度は逆にハードルが上がりすぎてしまったかな。
ホラーとしてはちょい期待はずれ。
こっちの方がタランティーノ色がより出ていて娯楽作品ぽい作りになっている。
メインキャストは女漁り(セックス目的)でヨーロッパ旅行しているアメリカ人の若者。
ホラー=セックスすると殺される
のお約束からすると全員惨殺のはずだが一人だけ生き残るヒーローが。
まあ、そいつもパートⅡの冒頭で斬首されて果てるのだが。
観光地とは言えない東欧スロバキアの田舎町にあるホステルに何故海外からの旅行者が来るのか?
普通はパリとかバルセロナとか、女目的ならアムステルダムとかだろうけど、このホステルにはカモを誘導する仕組みがある。
観光地にポン引きを配置しているのだ。
こいつらが目をつけた(商品として)スケベな若者に情報提供しホステルに向かわせる。
そしてホステルにはセックス要員の女の子が待ち構えていて目的を遂げさせ満足油断させる。
で、蜘蛛の巣に引っかかったカモ(商品)を顧客に引き渡す。
商品は事前にオークションにかけられていて高値を付けた人が落札し、サービスを受ける権利を持つ。
サービスというのは足の付かない殺人ができるということ。
拷問してもいいし、速攻で命を絶ってもいい。
サービスを受けるための条件は、腕に刺青をすること、必ず商品を絶命させること。
こいつを守らないと組織に殺されてしまう。
サービスを受けて殺人すれば怖い組織に弱みを握られ刺青という消えない証拠が残る。
怖気付いて殺人を止めてしまえば口封じに殺される。
インターネットオークションのためマーケットはワールドワイド。
そして実際に落札する連中はサイコキラーではなくいたって普通の人だったりする。
殺人願望があり究極の刺激を求めてはいるが日常ひた隠しにしているような連中。
ディテール的には突っ込みどころがないわけではないのですが、全体的なストーリーは良くできていると思う。
Rating : 6.8
Martyrs
『REEL SCARY』は3つの指標でレイティングしているのだが、そのうち2つ『DISTURB』と『GORE』で上位にレイティングされているのがこのフランス映画。
期待値の最も高かった作品だが、解り難さも一番だった。
説明を省略して(一応時系列で理解しろということなのだろうが)ズンズン進むのあっという間に置いてきぼり。
女の子が何故自傷行為をするのか理解できないストレスを抱えたままストーリー半分消化してしまう。
組織の存在がはっきりした段階で理由が解るのだが、今度は組織の目的(大義)が解らない。
プロットが甘く説得力に乏しいため鑑賞後の満足度は低かった。
組織のボス(マドモアゼルとかなんとか呼ばれているキモい婆あ)がピストル自殺した理由を考えさせるエンディングも?
拷問に耐えて精神を病まないまま果てた女の子(自傷行為をする子の相棒の方)の死に際の一言にマドモアゼルを自決させるほどの破壊力があったということなのだろうか?
Rating : 6.0
Evil Dead
ラストはサイトのレイティングが10.0のこれ。
オリジナルの『死霊のはらわた』も観ていないので、新旧どちらにしようか迷ったけど2013年版をチョイス。
どっかで観たようなシーンが多く、ホラーのお約束を忠実に守りつつディテイルを作り込んでおり、単純にホラー映画として良くできている。
解りやすさ=怖さ には繋がらないけど安心して(それもなんだが)観ることができた。
この作品だけ人ではない恐怖(悪魔降臨)が描かれていて、本来は子供だましのはずなんだけど、ホラーの伝統的な方程式にキッチリ当てはめることの正当性を証明できているということだろうか。
斬新さよりも保守(古典)の正当性(優位性)を見せつけた感じ。
先のユーロで優勝したポルトガルのつまらない試合ぶり(ドイツやイタリアのような先鋭的な戦術はない、今後他国にベンチマークはされない)を思い出しました。
結果は優勝と。
Rating : 8.3