<ウェルター級10回戦 アントニオ・マルガリート vs セルヒオ・マルティネス 米国ラスベガス>
2000年2月の試合。
試合当時、マルガリート22歳、マルティネス25歳。
マルティネスのレコードを確認すると、この試合前の戦績が17戦16勝1分(6KO)で、全てアルゼンチン国内で試合をしており、マルガリート戦が初の海外試合。
戦いぶりもそうですが、顔つきからしてまだウブな感じでティファナの竜巻に飲み込まれてしまったという印象。
マルガリートは...めっちゃ強いです。
まだ無名に近いホープ対決ですが、この時点では実力に差がある感じですね。
若い頃のマルガリートが実力の割りにスポットライトが当たらず、デラホーヤからも敬遠されてしまった理由がわかりますね。
タフでパンチがあって、手数が多くて、ジャブが良く出て、ロングレンジ〜中間距離〜接近戦なんでもござれで、おまけにスイッチまで器用にこなして、コンビネーションはアッパーとフックを絶妙に織り交ぜたイヤらしいタイプでしかもメキシカン特有のボディ打ちも巧みで、ストレートは軌道の真っ直ぐな肩を捻じ込むタイプの避けにくくて効かされる打ち方だしと相手からしてみたら、最高に嫌なファイターですわ。
スターボクサーはこんな強いのは避けるのが常套です。
今の噛ませ犬に成り下がっているマルガリートとは別物ですから。
パッキャオだってこの当時のマルガリートに勝てたかどうか...
マルティネスのスタイルは今とそれほど変わらないですね。
ラフなガードで良く動き回るところなどがそうなのですが、ただボディワークを今より使っている印象ですね。
これはマルガリートとの組み合わせの関係もあるかもしれませんが、距離を殺されて(マルガリートはボクサータイプを追跡して追い込むのが上手いせいもある)体を付け合って打ち合うシーンが目立ちます。
ほとんどのパンチは器用に殺してますが、なにしろマルガリートの手数が多いので、避け切れずに被弾しています。
得意のカウンターはあまり効果的に出せていないですね。これはマルガリートの攻撃に隙がないせいかもしれません。
マルティネスは今までに2敗してます。
1つはポール・ウィリアムスとの初戦での判定負けですが、その試合は見方によっては、マルティネスの勝ちとも言える際どい試合です。
したがって実質的な黒星はこのマルガリート戦のみ、いやそれはさすがに語弊があるとして、完敗を喫したのはこの一試合のみと言い換えましょう。
マルガリートはミゲール・コットにも初黒星を与えていますし、もっと評価されても良いボクサーだと思います。
少なくとも世代を代表するファイタータイプの一人として僕は位置づけたいと思います。
タフさとラッシングパワーが一般的に評価されてますが、パンチもありますよ。
マルティネス戦など、ハードヒッターであることを見せ付けるような試合ですもの。
というわけで、まだ現役ではありますが、印象に残るハードヒッターシリーズのくくりでマルガリートを取り上げました。
動画を貼っておきますが、マルティネスファンは目を覆いたくなるようなワンサイドマッチなので、いまでこそ名選手としての立場が逆転している感のある二人ですが、クラシックファイトというにはちょっと物足りないかな。
マルガリート強すぎ。