<1975/12/20 ロベルト・デュラン vs レオンシオ・オルティス WBAライト級タイトルマッチ / プエルトリコ・サンファン>
15ラウンド、ワンパンチフィニッシュとなったデュランの右アッパー。
ガードの固いサウスポーのオルティスをやや攻めあぐねていたデュランだが、試合終了まで30秒を切ったところで抜群のタイミングの右アッパーがヒットし、オルティスがダウン。
そのままカウントアウトとなります。
サウスポーに対して右のショートストレートを有効に使ったケースは多く観ていますが、右アッパーで倒すシーンというのはあまりお目にかかれないため強く印象に残っています。
レイ・アーセルの指示なのかもしれませんが、それにしても見事なワンパンチフィニッシュです。
ライト級時代のデュランは日本では誤解されたイメージで報道されていたように思います。
石の拳というニックネームから連想するハードヒッター、パワフルなファイターという画一的なイメージのみ強調されて紹介されていました。
海外でのデュランの評価は、攻防兼備の洗練されたファイターというものでそのテクニックの高さがフォーカスされたように思います。
日本人はファイターのテクニックをあまり見ない傾向があって、パワフルなパンチやラッシングパワーばかりに目がいくようで、そのボクサーの本質をファンに的確に伝えるのが下手ですよね。
デュランなどは誤解されたボクサーの典型で、その全盛期には日本で彼の試合を見る機会はほとんどなかったため、どうしてもイメージで語られてしまったのでしょう。
僕がデュランの試合をリアルタイムで観るようになったのは対レナード第1戦以降であり、ライト級時代の試合は高校生になってバイト代を貯めてビデオテープを買って初めて観ましたからね。
デュランとナポレスは観まくりました。
ほんとに暇さえあれば観てたという感じでした。
全盛期のデュランは倒しっぷりは見事だったのですが、試合全体を通した印象はハードヒッターというよりはテクニシャンのイメージが強かったですね。
ジャブをよく突くし、パンチは多彩ですし、上下の打ち分けは見事ですし、カウンターのタイミング合わせも抜群、そして何よりほとんど打たれません。ディフェンススキルの高さに感心しました。
ボクシングファンを長くやっているとボクサーを見る目がだんだん養われていきます。
そのボクサーのストロングポイント、ウィークポイントが何かを探るのも楽しみですから、メディアが植えつけるイメージを鵜呑みにせず、自分の目で確認するようにしたいですね。