Two-way player

 

さて秋のスズキ釣り。

例年に比べるとモチベーションは低かった。

「ぼちぼちやるかな。」

4月以降コロナ禍で自粛していたこともある。

秋だけって、俄じゃないんだからイメージ悪いし。

ホームであっても状況はわからない。

例によって仕事の合間にサクッとロッド振ってくる程度の釣行ばかり。

日が沈んだら終わり。

1本出たら終わり。

そんな感じ。

 

ホームリバーでの秋といえばアユ絡みでスズキ釣りの戦略を立てるのだけど、

以前のようにロットでドバドバと(大袈裟か?)アユが落ちてくることは無くなってしまったので単純な発想では中々思うように釣果をあげることが出来ない。

スプラッシャーをチャラ瀬でドリフトしていれば、簡単に水柱が立ったのは大昔の話。

とは言えアユがキーになるのは確か。

じゃ、どうする?

僕も近年色々試行錯誤してきたのだがトップの釣りからは徐々に離れつつあった。

それでもトップへの郷愁を捨て去ることはできない。

未練タラタラで切り捨てられない性悪女みたいなもん。

代え難い魅力があり、その他多くのデメを一瞬で帳消しにしてしまうヤバさは言葉では中々伝えにくい。 

「なんとか上に出したい。出さねば。出すにはどうしたら?」

こう思えなくなったら僕がスズキ釣りをやめる時だろう。

他にやる釣りはいくらでもある。

釣り味に拘ることで得られる醍醐味はドップリ嵌ってもがき苦しんだ者にしかわからない。

いろいろなアプローチがあるが、バス釣りのようにパターンを嵌め込んでいく釣りでは無いと思っている。

経験と自然観察に裏付けされた、そしてフィールドの属性からフィードバックされた、そして自分の価値観が反映された、自分だけの釣り。

それを求めていくのが本当のこの釣りの醍醐味だと確信している。

熱く精神論を語るのがウザいと思われて結構。

根っこはそれなんで。

今秋メインに使った(試した)プラグはTKW140だ。

ノーマルはあれなんで、もちろん改造はしている。

リップを取り去り、強度の問題が出ない程度にボディを削った。

あとはウェイトを貼ってバランスを代え、浮力を調整。

 

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着水時の浮き姿勢はこんな。

ラインアイのみ水面上にでるよう浮力を調整した。

浮き姿勢はウェイトが後方にあることを前提に75度くらいに設定。

この状態でスローに(テンション緩めに)引くと、

 

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 動画だとわかりやすいのだが面倒いので写真撮ったら上手く映ってなかった。

つまり直線的で鋭い引き波が出るのだ。

で、テンション入れるとウェイトが戻ってバランスが前掛かりになるため潜行する。

この「直線的な引き波+ダイブ」を集魚要素にしてみたらそこそこ嵌った。

過去、落ちアユとそれをストーキングして狙っているスズキの関係を観察してきたことから生まれた発想がベースにある。

引き波出しての滑走からの僅かな水深でのダイブというのは、本来2つのプラグを使わないと上手くできない。

例えばペンシルを棒引きして引き波を作り、プラグをダーター(スリップベイト)にチェンジしてフォローさせるみたいな。

ダイビングペンシルは?

そう都合良く、タイミング良く潜行させられないからダメ。

引き波だけでは段取りが中途半端なんだ。

ダイブで食わせるイメージだから。

二つの要素の繋ぎをいかに自分の狙ったタイミングでスムーズに出来るかがこのメソッドのキモだからね。

つまりワンキャストで2つの要素を実現させる「Two-way player」を作りたかったのだ。

TKW140改は未完成ながら狙った所には連れて行ってくれている。

 

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超サイレントアプローチなので違和感はミニマムレベルだ。

ベイトが少なく、にも関わらずセレクティブな状況のときが出番。

投入するプラグがことごとく見切られ、

「ちっ!オメエら頭に乗るんじゃねえぞ。」

「先生、お願いします。」

とっておきの用心棒登場みたいな。

勿論、違和感(例えばウォブラーの派手なアクション)が集魚要素になるケースも多々あるので使い所は状況を見て判断する。

フィールドの状況が良いのなら用心棒先生はお休み。

酒呑んでお寝んねしていただく。

 

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上の写真の子らは阿修羅スリム改が連れてきた。

実は引き波+ダイブメソッドを試そうと思った時に第1候補プラグは阿修羅スリム改だった。

ノーアクションプラグで一番集魚力があったから。

ただ残念ながらロストしてしまったので2番手候補だったTKW140改になった経緯。

本当は9番ポジションでジェコが欲しかったけどローマが離さないので代わりにモラタをとったら望外に活躍しましたみたいな(笑)

サッカーファンにしかわからない例えでごめんなさい。

 

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いやー、現場によっては本当に嵌るわ。

リア沈み状態でのスローな棒引きでも泳ぐプラグは泳いでしまう。

それはNGだ。

引き波が揺れてしまうと成立しないメソッドだから。

要はポツポツ落ちてきているアユを強烈に意識しているスズキに追ってもらわないと意味がない。

プラグの後ろに付かせることができるかどうかはアユの泳ぎをリアルにイミテートできるかどうかにかかっている。

演技の上手な役者にするためのノーアクション化。

ウェイトの戻りが良すぎるプラグだと上手くいかない。

それとウェイトの可動ルートがやや長めである必要がある。

これはTKW140改をテストしているときに気付いた。

まあ結果論だけど阿修羅スリム改では機能上実現できなかった。

 

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ベイトにセレクティブなスズキはプラグをキッチリ観察している。

手を替え品を替えでなんとかできない魚が居るのだ。

時合を待てない短時間釣行スタイルの僕が苦し紛れに考えたメソッドとも言える。

汎用性は極めて低いと補足しておく。

 

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出てくれた魚のサイズは65cm〜78cm。

物足りないけど、今のホームリバーではこんなもんだろう。

良型が出たら納竿しようと思っていたのだが。

冬季C&Rのニジマス釣りが気になって仕方ないし。

いまいち気の入らないスズキ釣りをズルズル続けるのも何だし。

 

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フックはがまのスイミングフックを使っている。

鬼掛け&バレる心配皆無。

クソ高いだけのことはあるフックだ。

シングルフックの利点しか感じないと言ったら嘘くさい?

ただ、掛けた魚のひきの強さが2割増しくらいに感じる。

スレ?って勘違いするほどだ。

 

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TKW140改の用心棒メソッドをやるロッドはワーシャ15103RS-3がベストマッチ。

抜群の操作性と取り回しの良さは使っていて気持ち良いレベルだ。

ゴーテンショートロッドだけどぶっ飛びプラグ故オープンウォーターでも普通に使っている。

というかもうこのロッドしか使っていない。

リールはRevo BLACK10を合わせているがバランス良し。

飛距離にも不満はなく、まあ必要十分飛んでいる。

ブレーキセッティングもイージーアクセス。

よってトラブりにくいのも◎

とても気に入っている。

 

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回遊タイプのフレッシュな個体が釣れないところを見ると夏場から川に入っている個体の食いが立っているだけなのかも。

7月の降雨量が異常だったのでそのタイミングで川に入り込んだと推測している。

水量が多い時遡上に拍車がかかるからね。

 

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川を観察する限りアユの流下のピークらしいものはなかったと思うが、ただ全体的に前倒しで動いていた気配。

どこの現場でも群でギャーギャー騒いで鬱陶しかったカワウをあまり見なくなったことから店仕舞いを始めているのかもしれない。

上空を忙しく飛び回ることもなくなった。

何処に消えたのだろう?

今後ドラマティックな展開は予想しにくいフィールド状況だし、渓魚釣りと合わせての釣行回数はノルマの100回を楽勝オーバーしているから何時納竿しても良い。

ついでに1発良型が出てくれれば気持ちよく終われるのだが、回遊がないので難しいか。

 

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この子が今秋のベストフィッシュだった。

サイズは80に満たない程度だが出方がね。良かった。

ポジション的にアップストリームアプローチができないためクロスにキャストし、着水後プラグの浮き上がりを待ち、ダウンになる直前までほんの数秒引き波を出してからのダイブさせたその瞬間に食った。

このタイミングで食わせたいという思惑通り。

会心のバイトににやけながらランディングしたっけ。

 

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TKW140改以外のプラグもそれなりに使ったが釣果の大半はTKW140改だった。

特定のプラグを意図を持って使い込むとフィールド状況にアプローチのリズムみたいなものがマッチしてしまう時がある。

今秋は正にそんな感じ。

こいつに特別な集魚力があるわけではないので誤解無きよう。

BKSPなどのウォブラーへの反応が良くないことから昨秋シーズンとは真逆の状況だったようだ。

 

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ウォブラーへの反応が悪い理由としてオープンウォーターの不調が上げられる。

釣果のほとんどがカバー絡みの魚を拾い釣りしたものだった。

何故オープンウォーターに魚が居ないかというと単純にベイト(アユ)の流下が少なかったからである。

川幅があるエリア(例えば80mを想定)でランダムに小ロットで降ってくるアユを待ち構えて捕食するのに一番都合の良いポジションが何処か考えれば解ること。

効率良く捕食する術を身につけているスズキの習性を逆手に取って戦略を立てる必要がある。

正直、釣り味はあまり良くないが、渓魚釣りの延長の感覚でできたことが僕にとっては幸いだったかもしれない。

きっと昨シーズンの感覚で釣りしていたらあまり魚を見つけることはできなかっただろう。

ホームリバーの釣りの難しさはこういうところにあって、ただ単に知っているポイントを回りまくれば良いというものではない。

過去の経験(成功体験)を引き摺りがちだと、現場の変化に対応できない。

モリーリセットして面倒くさがらずに1からリサーチする気概があるかどうか。

だから秋だけ、ハイシーズンだからきっと釣りやすいだろうと湧いてくる輩は運頼みの釣りしかできないんだ。

今シーズンに関しては僕もその一人だが。

サビだけ歌うカラオケみたいなもんか。

フルコーラス歌ってなんぼなんだけどね。

 

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50クラスのフッコが釣れ始めたのでそろそろ終わりかな。

成魚は落ちてしまったようだ。

例年その直前のタイミングでビッグママが出るものなのだが、今秋は無さそうだ。

居着いていた個体も産卵に向かったかな?