ショートレビュー ジョシュア-プレフ

 

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Saturday 12, December 2020

Wembley Arena, Wembley, London, United Kingdom

Commission - British Boxing Board of Control

Promoter - Matchroom Boxing - Eddie Hearn

Media -United Kingdom SKY Box Office 

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マッチアップ:★★

スリル:★★★★

スキル:★★★

印象度:★★★  

 

ジョシュアのプロモーションファイトだったので特に述べたい感想はない。

来年計画されているらしいタイソン・フューリー戦(観客入れられるまで待った方が良いと思うが)を想定した場合のチェックポイントだけ完結に。

この試合のパフォーマンスが通常運転であれば、多分ジャブの差し合いでジョシュアがアドバンテージを得ることはないだろう。

そもそもロングレンジではフューリーに分があるように思う。

ジョシュアのジャブがダメなわけではなく、上下にに打ち分けたり工夫はしている。

ただちょっとスローなんだ。引きも甘いし。

フューリーのトレーナーはきっと指示するだろう。

「奴のジャブの引き際に右を被せていけ!」と。

フューリーにはロングレンジでの芸しかない。

だからこそロングレンジに徹底的に拘ったマインドセットで試合に臨む。

不得意な体の位置関係になりそうになったら即クリンチにいく。

ロングレンジをキープしている限りフューリーがペースを失う機会は少ない。

ジョシュアが相手でもきっとそう。

ジョシュアの美点は大柄な体格からは想像しにくいコンパクトでシャープなパンチの軌道だ。

中量級のファイターのようなフォームでパンチを繰り出すから的中率が良いし、良いアングルでコンタクトする。

短く、鋭く。

そういうイメージだ。

だから意外と距離は短め。

プレフにテンカウント聞かせたロングの強い右もあるが、それにしても意外とドライブが効いていない。

脇を締めて鋭く撃ち抜く右だったように思う。

リーチが長いので結果的にロングになっているだけ。

対フューリーの戦術的にはミドル〜ショートレンジで手を出せるスペースと時間のマネジメントがキーポイント。

よって、フューリーを上回るフットワークスピードを持ち、かつアジリティで圧倒し、

そして、よりコンパクトなフォームからのハンドスピードの創出とコンビネーションの持続性を発揮し、

インサイドでアドバンテージを得る得意のアッパーを打ち込む機会を創出できれば、

勝てるだろう。

おおよそヘビーウェイトのファイターに望むことではないことばかりだけど。

得意な自分を出せば結果はついてくる的なマインドセットだと、老獪なフューリーにやられてしまうような気がする。

プレフ戦を観ていて漠然とそう思ってしまった。

まあ根拠は曖昧なんだけど、

フューリーはあの体格にしては良く動けるし(アジリティはないが足捌きが良い。)ハンドスピードもそこそこある。

手打ちファイター特有だが。

そしてボディワークでパンチを殺すことも上手く、モロに衝撃(パンチングパワー)を受けてしまいがちなジョシュアとは対照的だ。

何が言いたいかというと苦手なタイプなのではないかと。

ジョシュアにとってフューリーは。

上手くいなされて疲れさせられて、チマチマとダメージを蓄積させられて、戦力を奪われていくパターン。

中島成雄を第2戦でストップしたときのイラリオ・サパタとイメージが被る。

 

 

 

40年ぶりにこの試合観たけど印象は当時とあまり変わらない。

サパタの柔軟性と脱力の妙、特別勘が良いとは思わないけどポンポンと軽打が出ること出ること。

そのほとんどがストレートだ。

距離の縮まるフックだと中島にパンチを合わされるリスクがあるが体格差が活かせるストレートを出して入れば安全圏。

べた足だけど歩幅が相対的に長いので距離を保てる。

自分の距離で自分のリズムでポンポンとストレートの手数を出すことでペースを取ってしまう。

老獪というより自分の特徴、強みを良く知っているということだろうか。

このボクシングにカタルシスを感じる人、思入れできる人は少ないだろう。

でも勝ってしまうんだ。

因みにサパタは韓国の鷹こと張正九の破天荒なラッシュ戦法には屈した。

結局オーソドックスなファイターはサパタのボクシングに取り込まれてしまうが、彼が対処できない要素(ブレイクスルーな戦術や強み)があれば退治できるのかなと。

フューリーもきっと…