ショートレビュー スペンス-ガルシア

 

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Saturday 5, December 2020

AT&T Stadium, Arlington, Texas, USA

Commission - Texas Combative Sports Program

Promoter - TGB Promotions - Tom Brown, Sampson Boxing - Sampson Lewkowicz

Matchmaker - Tom Brown

Media - Panama RPC Channel 4, USA FOX PPV 

 

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マッチアップ:★★★
スリル:★★

スキル:★★

印象度:★★ 

 

エロール・スペンスJrの美点は腰を起点とした反発力と復元力の強さだと思う。

つまり体幹、フィジカルの強さをストロングポイントに持つファイターだ。

更には柔軟性に富むという要素も加わる。

ほぼほぼベタ足で、腰を落とし気味に、スタンス広めで相手に追随している。

スピード感には乏しいが圧のかけ方が独特で、極端に言えばジャブなしでも相手を追っていけるのだ。

気密性のの高いタッパー的な圧のかけ方。

前述した強い腰でロックオンしてしまうイメージ。

段取りとしては、ガチッと腰をはめ込んでしまってから手を出していく。

相手の反撃に対するリアクションは柔軟な上半身を利して、

「グニャ」っと往なしてからの反発でオフェンスにスムーズな切り替えをはかる。

強健な腰から下と柔軟な腰から上を繋ぐために腰で鍵をかける。

グラつかないようにね。

目を見張るコンビネーションを打つわけでも、際立ったハードヒッターというわけではないが、大概の相手はスペンスに腰で鍵かけられてしまうと身動き取れずに崩れてしまう運命だ。

同じような特徴を持つレジェンドファイターとしてはアントニオ・セルバンテスが思い浮ぶ。

セルバンテスの方がもっと柔軟でゴムまりのような弾力性を利したダイナミックなオフェンスだったが。

強い腰を起点にした上半身と下半身の連動性という部分はあまり感じないが、先日54歳でリングに上がったマイク・タイソンも腰から下の強さと反発力に特徴がある。

腰から大腿部にかけてと言った方が良いか。

事前にハードルを下げてから観戦したためかもしれないが、往年のとまでは言わないまでもタイソンの力強いオフェンスに感心した。

タイソンのパンチングパワーを生み出している源は腰とあの太い腿にあるのではないかなと漠然と思いながら2分×8R眺めていた。

もちろんバランスは重要だけど、腰から下が尋常でなく強いフィジカルがあれば、多少前がかりでも復元力があるので戻せるんだよな。

そういう意味ではバランス重視の発想からは逸脱してしまう(してもあまり問題がない)身体的特徴がスペンスやタイソンにはあるのかもしれない。

グッドバランスを特徴とする(特にオーソドックススタンス時)テレンス・クロフォードとアンチセオリー的なバランスで動くスペンスのマッチアップに変な部分で興味が湧いてしまうね。

斜めアングルでのボクシングの見方ではあるが。

案外噛み合うんじゃね。