Against all odds

 

ホームフィールドが荒廃する以前はミスマッチであったシンキングプラグ。

色々と変化(劣化)してしまった現状であれば使う意味があるかもしれない。

可能性を模索したくてスタメンに加えたTKGS135。

 

 

このプラグのリップは抵抗でバランスを崩すため(アクションさせる)というより進行を止めるため(スローダウンさせる)に機能する。

よって流速の速いエリアで使用した際にシンキングプラグのメリットを見出すことができる。

流石にチャラ瀬では無理があるが。

それは渓流釣りでシンキングプラグを使うメリットに共通しているように思う。

セオリーとは逆に敢えて流れに同期させない(沈下しようとするため流速に抵抗しスローダウンする)ことで捕食のタイミングを作れるのではないか?

物理的に自然に流れに抵抗することで生命感も醸せるのではないか?

二つの集魚要素が複合する効果があるのではないか?

そのあたりを検証するためにTKGS135を時々使っている。

トロ場で沈めて(魚との距離を詰めるために)使うわけではない。

以前はサスペンド設定にすることで止めて間を作る状況を作り出していたが、まあその延長という感じ。

よりスピードダウンを意識して。

今秋はアユの流下が少な過ぎてベイト不足のため上を意識している個体がほぼ居ない状況ではTKGS135を使う意味があるかもしれない。

渓流でスピナーを使う感覚に近いかも。

ここでスピナーをチャラ瀬で使う意味的なことをネタにしている。

僕が渓流釣りで愛用しているバギースピナーのブレードとTKGS135の幅広リップが同じ機能を産んでいるように思っている。

つまりテンションインで止まることを戦術的に利用する。

TKGS135は短いリップなのに引き重りが意外にあることで色々気付くことができた。

うん、正に渓流釣りの延長の感覚を持てる。

単純に魚との距離を詰めるためだけに使っても釣れるだろうが、僕の流儀ではない。

 

 

ポツポツという感じだが釣れてくれたので使い所はわかってきた。

 

 

プラグの特性からして青物やヒラスズキ釣りにより向いているのではないか。

ラフウォーター(サラシ)で良さげなんで。

ランダムな状況の中でプラグをコントロールしやすいという意味でね。

自分で工夫して集魚要素を作ることができるアングラーにはおすすめのプラグだ。

ただ引きで勝手に魚を連れてくる類を所望する人の期待には応えないかもしれない。

ちょっとテクニカルで尖っているキャラに気付けば使い勝手が違ってくる。

二宮氏の作った過去のプラグ以上にアングラーのイマジネーションレベルに応じて戦闘力がアップダウンするのが面白い。

彼のブログで開発者の視点からこのプラグの特性を語っている記事がある。

tacklehouse.co.jp

普通ビルダーはここまで懇切丁寧に解説しない。

色々解っているからこそ書けるというだけでなく、コンセプトの正当性に対する確信とユーザーファーストの姿勢を垣間見せている。

ただね、使い方やシチュエーションに対する限定的な指示はない。

これが良心的なスタンスだと気づけるかどうか。

「どうやって使うんだよ?」

そう思ってしまう人はお呼びではないのだ。

特性や機能を説明されたら直ぐにイマジネーションを湧かせて自分で状況設定できないのであれば、そのレベルでしかないと自覚すべき。

経験不足なのさ。

 

使い方を工夫したい(工夫すればするほどポテンシャルを確認できる)と思えるプラグが本当に良いプラグだと思っている。

そういうプラグはアングラーのスキルレベルを上げてくれるからだ。

ビルダーの地力やポリシーが具現化されているのがプラグだ。

ラパラのカウントダウンのような古典を知り、ブルーオーシャンのようなオールドスクールなミノーやトップで腕を磨き、最新の成形技術とメカで武装したプラグの有効性を確認するという時系列な流れを経験することは大事だ。

いきなり最新今時のプラグから始めると釣果は担保されるかもしれないが、釣りに深みは出ないだろう。

 

 

 

メセニー、ジャコ、ブレッカー、ジョニ。

この豪華なバックを従えても霞むどころか輝きを増すジョニ・ミッチェルがカッコ良い。

この頃からジャズ色を強めていたけどロック的なパッションは失っていないのが映像と音から伝わってくる。