左ハンドル考

 

14スコーピオン201HG  

 

シマノのプロモーションの顔として長年ルアーフィッシング界に貢献しているM氏は、

「右利きのアングラーは右ハンドルのベイトリールを使うべき」

と啓蒙している。

左ハンドルベイトリールは左サイドにハンドルやギヤなどのパーツが固まっているからキャスト時に下側に重心がきてバランスが悪くなるためリストが効かせにくいこと、

リールの握りをキャスト〜リトリーブ移行時にトリガーに対してワンフィンガー掛けからスリーフィンガー掛けに変える工程が発生し非効率だということ、

つまりロッドを持つ手を右手から左手に変える動作の方がスムーズでタイムラグが短いということらしい。

左右両方のハンドルのリールを代わる代わる持って実演付きで解説するので強引に納得させられてしまう。

 

 

 

彼の言っていることは一般論であり正否を論じる気はない。

そもそも右利きの人は右手での方が左よりハンドルを回しやすいだろうし

ビギナーレベルでは、ロッドワークなんてしない(できない)から左手はロッドを持てればそれで良い。

僕は右利きだが釣りを始めたときから左ハンドルのリールを使っている。

永年の習慣は物理的な理屈を覆してしまうのか、

キャストしていて左ハンドルのデメリットを感じることはない。

M氏のロジックを知った上でも、自分のキャストに違和感は覚えない。

僕は腕力自慢ではないし手も小さい方だと思う。

しかもシングルハンドキャストオンリーで釣りをしている。

そして実釣においてはアキュラシー重視のコントロールキャスト中心で、フルキャストをすることは稀だ。

そこそこの距離を投げる際にも(勿論リストは効かせるが)7〜8割程度の力でキャストするので、

シングルハンドキャストであってもリールの重心が下寄りの違和感は感じないし、

M氏が言うような押すようなキャストフォームにはならない。

結果にシビアな遠投競技をやっているわけではないので厳密に理にかなっていなければダメではないのだ。

理屈よりも慣れ。

手にタコができるほど投げ込めば左ハンドルのデメ云々なんて関係なくなる。

逆に左手でロッドワークしようとすると(右巻きならそうなる)ぎこちなくなってしまう。

リールのハンドルを回す動作は単純だが、ロッドを思い通り操作する動作はそれなりに複雑で繊細だ。

利き手が適しているに決まっている。

グリグリただ巻きはまったくやらない、つまりロッドワーク前提の僕にとって左ハンドルがベイトリールの必須条件になるのだ。

右ハンドルのリールを使ったら使ったでよりキャストしやすくなるのかもしれない、but左手ロッド持ちは有り得ないから絶対それはしない。

そう言えば一つだけ、

左ハンドルのデメを感じることがある。

大型のハンドル(所謂パワーハンドル)を付けた時に、デカいが故の邪魔感が出るのだ。キャスト時に。 

コンパクトなベイトリールのメリットをスポイルするというか。

シングルノブのコンパクトなハンドルに付け替えているのはそのためだ。

邪魔感がないだけでなくロッドワークしやすいのでお気に入り。

ターゲットがもっと強い魚だとデメになる可能性はあるが。

現状問題なし。

件のM氏の解説の中で、

「左ハンドルの人はシングルハンドキャストができない。」

と言っているのだが、左ハンドルだからできないというよりはシングルハンドキャストをすることがない(機会がない)からできないのではないか。

ダブルハンドグリップのロッドでわざわざシングルハンドキャストはしない。

ダブルハンドに特化して普段キャストしているからシングルハンドキャストできないとも言える。

「シングルハンドで投げてみて」

と同釣者にリクエストすると、

「無理!」

とか

「無意味!」

などネガティブなリアクション。

まあロングロッドでシングルハンドキャストする意味は確かにないけど、

ショートロッドの場合、シングルハンドキャストできないとダブルハンドでも上手く投げれないはずだよ。

特に5フィートクラスの超ショートロッド(使う人は少ないかな)なんてシングルもダブルも同じだからね。

ブランクスが短いため調子にもよるけど、しなりが少なくて遠心力があまり働かないので、利き手のスナップを効かせてキャストしないとプラグは飛んでいかないしアキュラシーも出ない。

このスナップを効かせるキャストというのはシングルハンドキャストのことで、

左手(右利きの場合)はグリップエンドに添える程度だから。(梃子の原理はわずかなアシスト程度)

だから左手フリー(シングルハンド)でも左手を添えても(ダブルハンド)も大差はないということ。

ディスタンスもアキュラシーもね。

シングルハンドキャストが基本なのだ。

持ち手に関しては、

ロングロッドによるダブルハンドキャストは野球のバットを振ることと、

ショートロッドによるシングルハンドキャストはテニスのサーブをすることと同じようなもの。

 

キャッチ写真はM氏に因んだわけではないけど入手したばかりの

14スコーピオン201HG。

中古の出物を見つけたのでポチ買い。

来シーズンのメインロッドにする予定のピメンタに乗せるリールを物色していた。

 

14スコーピオン201HG

 

ハンドルは使い慣れたシングルノブに速攻交換。

デフォルトのハンドルも全然悪くないのだけど、

内側(リール本体側)にベントしていて僕は違和感を感じる。

ジリオンもそれが嫌で交換していた。

トレンドはストレートよりもベントしているタイプなのだろうが、

やはり使い慣れたものが一番だね。

常に触るものは。 

で、バランスなどを確かめるべく安物3号PEを巻いて現場でピメンタに乗せて振ってきた。

うん、良い。

思った通りジリオンセットよりグッドバランス。

ジリオンを乗せてキャストしているとき、もう少し軽いリールかつ遠心ブレーキモデルの方がマッチするように思えたがその通りだった。

14スコの方が 30gくらい軽量なのだが、リストが効かせやすくなり、よりスムーズにキャストできるようになった。

短く軽いロッドだからなのかな。

ネガで気になった点はちょいパーミングし難いこと。

オフセットされて張り出しているギアボックスに指先が当たるため握りが決まらない。

そのためトリガーに対して基本のスリーフィンガーよりツーフィンガー掛けにする方がしっくりくる。

SVS∞の調整はラフにやった。

まあそんなにシビアな仕組みではないので。

ブロック1個ON、外部ダイヤル1でOK。

慣れたらオールOFFでいけそうだ。

SVS or マグの好みについては、

僕は遠心ブレーキ派。

限りなくブレーキOFFに近づけることが可能なイメージがあるからかな。

ブレーキよりもサミングで、メカよりも研ぎ澄ましたタッチ感覚でリールを制御したい。

指先の感覚って鍛えればどこまでも繊細になる。

とは言え、トラブルはゴメンだからメカにもある程度は頼る。

14スコはマニュアル制御できる余地を残しつつSVS∞の安定感が素晴らしい。

シマノの廉価グレードだが、僕はこれで十分。