ショートレビュー ロマチェンコ-ロペス

 

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Saturday 17, October 2020

The Bubble, MGM Grand, Las Vegas, Nevada, USA

Commission - Nevada Athletic Commission

Promoter - Top Rank - Bob Arum

Matchmaker - Brad Goodman

Media - Latin America: Canal Space, USA ESPN 

 

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マッチアップ:★★★★

スリル:★★

スキル:★★★

印象度:★★

 

ボクシングの試合を陸上のトラック競技に例えたら、短距離走なのか長距離走なのか?

僕は短距離走なのではないかと思っている。

スタートに失敗したらそれを挽回して(ゴボウ抜きにして)勝ちきることは難しいからだ。

相手の戦略次第なのだが、

例えばお互い慎重な試合の入りをして様子見が続くような展開なら後からどうにでもなる。

だが相手が先にスパートかけてきて出鼻をくじかれるような形でペースを取られてしまった場合、そこからペースを取り戻してポイントを挽回するのはとても難しい。

トップレベルの試合ほど。

 

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公表されたスコアを確認するとジャッジ3人とも7Rまでロペスのフルマーク。

採点の割れたラウンドは8,9,10だけ。

観客はどうしてもバイアスかけて試合を眺めてしまうので公式なジャッジペーパーに違和感を覚えてしまうことがある。

「ロマチェンコは前半様子をみていただけで後半は明らかに支配していた。」

そういう印象を持つのは、先入観としての実力差を試合展開とは別に無意識フィルターかけてしまうことが原因だ。

ロマチェンコは前半消極的すぎた。

特に右のカウンターを警戒し過ぎ。

裏を返せばロペスがそう仕向けたとも。

ロペスにはチャレンジャーの意識が明確にあり、過去の試合に比べると積極的にアタックしていた。

ロペスがプレッシャーをかけロマチェンコがそれを回避するという展開が長く続き過ぎた。

何か際立った戦術があったわけではないし特別シャープな動きではなかったが力強さはあった。

フットワークで追随するのではなくパンチングパワーを利して左右から挟みつけるような圧をかけていたように思う。

ロマチェンコが階級の下のファイターに思えるほどに。

ロマチェンコのフットワークは基本的にプレッシャー回避のみで機能し、いつもの出入り(攻守の頻繁な切替)はほとんど見られなかった。

ロマチェンコにブランクの影響があったかどうかは何とも言えない。

ただ消極的な(慎重とも取れるが)姿勢で12Rを消化してしまった印象がとても強い。

ロペスが強かったのか?

それもまた微妙。

スター誕生という感じではないかな。

本人は再戦を拒否するようなコメントをしているが、やったら良いに決まっている。

ライトウェイトあたりでビッグマネーファイトなんてほとんどないのだからネームバリューのあるロマとの再戦をやらないなんて逃げていると思われちゃう。

今回はアップセットだったし、過去の例を持ち出すまでもなくビッグネームを食ってしまったら再戦でもう一度実力を証明しなければファンは納得しないのだ。

ロペスの実力が本物かどうかモヤモヤしている僕のようなボクシングファンはきっと多い。

ボクシングはレコードより集客が重要なんだから、

マーケットの需要に素直に従うべき。

それと試合やロペスの実力とは関係ないことだが、僕はこいつの言動があまり好きではない。

エイドリアン・ブローナーと同じにおいがするんだよな。

だいたいこの手は…