1987年7月、米国ラスベガス、シーザースパレス。
マイク・マッカラム(31-0-0)がドナルド・カリー(27-1-0)を倒した左フック。
ワンパンチKOだから印象に残ったというより、あのドナルド・カリーが脆くも敗戦したということのインパクトの方が大きかったかな。
当時のボクシングメディアの報道のニュアンスもそんな感じだったと記憶してます。
マッカラムの実力は評価されてましたが、カリーが勝つだろうという識者、ファンの意見が多かったですし。
先日のドネア-ウォータースを観た時、思い出した試合の1つ。
ジャマイカ人繋がりということもありますが。終わり方もね。
唐突なノックアウトシーンが訪れるまではシブい技術戦が繰り広げられていて楽しませてくれます。
ちなみに4Rまでのスコアは38-37、39-38、40-36で3者ともカリー。
まあ、カリーがグラスジョーなのでは?という予感はロイド・ハニガン戦で芽生えてはいたのですが、ディフェンスマスターでしたからね。
カリーのスタイルは当時玄人受けしていて、特にそのディフェンススキルが高く評価されていました。
必要最小限の、ほんとに小さな動作で相手のパンチをかわしつつオフェンスにスムーズに繋げていくスキルはとても洗練されていた。
ローンスターコブラ(ニックネーム)の攻防の連動性には目を見張るものがあったのですが…
この手のスタイルは耐久力が人並み以上であるという保険がかかっていないと何時か破綻をきたすというか交通事故にあう可能性が。
残念ながらカリーも例外ではなかったということ。
高度ですが、リスキーなディフェンスルーティンなんです。
ディフェンススキルが高いのにリスキーとは、矛盾した表現になりますが、うーん、でもそうなんですよね。
オフェンシブだから時にポカをやるというのとは意味合いが違うんですけど。
僕がメイウェザーの耐久力に疑問符を投げかけ続けるのは、リスクを冒さないのは、実は強い耐久力という保険がかかっていないので、必要以上にディフェンスに執着するのではないかという懸念が未だ消し込まれていないから。
タフネスはボクサーを評価する上で大事な要素です。
打たれない方がいいにきまってますが、いつかは誰かにハードヒットされるんですから。
カリーのようにね。
もしかしたらメイも(例えばパックマンの左を食って)マットに沈むかもしれませんよ。
タフだなという印象を残していればそんなこと思わないんですけどね。