ノニト・ドネア vs.ギジェルモ・リゴンドウ


WBA/WBOスーパーバンタム級タイトルマッチ ノニト・ドネア vs.ギジェルモ・リゴンドウ / 米国ニューヨーク>

WOWOWで生テレビ観戦。
録画し再度観ました。合計24R観たのですが一度目と二度目で印象はあまり変わりませんでした。
つまりリゴンドウはこれくらいやるだろうという想像の範囲から逸脱しなかったということです。
それなりにスリリングな試合でしたが、今まで見せたことのない一面をリゴンドウがこの試合でプレゼントしてくれたわけではなかった。
試合がつまらなかったという意味ではなく、ハッとするようなシーンや感心するシーンにやや乏しかったかなと。
そうなった原因としてドネアの無策さ、言い換えれば自身のスタイルに対する自信過剰が悪い方向に働いたためかなと思われます。
リゴンドウを舐めていたわけではないでしょうが勝つための戦略がなかったですね。
「一発当てて終わらせたい」
ハードヒッターの悪い面が出てしまったのかな。



集客力のあるスターボクサー ⇒ 観客を喜ばせるボクサー

⇒ スリリングでエキサイティングなシーンを数多く提供する

⇒ KO勝利を常に目指しオフェンシブなファイトスタイル


勝てるボクサー⇒対戦相手を研究、理解し自分の強み弱みを見極めたうえで戦略を作れるボクサー

⇒相手の強みを打ち消し、自身の強みを発揮する戦術を試合の中で実践できる

⇒12Rの試合の中で自分のペース、相手より上回っているムードをより多く作れる

⇒単純に相手のパンチを貰わず、自分のパンチを当てられる


人気ボクサー(ドネア)と勝てるボクサー(リゴンドウ)は本質的な部分でタイプを異にします。
リゴンドウの素晴らしさはスターボクサーとしての商品価値に直結しないのは明らかで、一般受けを望む方が間違いなのです。
勝つことに徹してそれにブレがないリゴンドウに対して、ドネアは勝つだけでなくファンの喜ぶパフォーマンス(ワンパンチで倒すこと)を魅せることをも欲張ってしまった。
その結果は?
リアリズムの権化のようなリゴンドウに対してちょっと甘かったんじゃないのやり方が。

例として妥当かどうかわかりませんが、かつてのスターボクサー、シュガー・レイ・レナードは派手で一般受けするスタイルでしたがそれはあくまで格下相手の時だけに限定されていて、強豪相手(vs.ベニテス、デュラン、ハーンズ、ハグラー等)のときは勝つための戦略に基づいた現実的な戦い方をしていましたよ。

今回の敗戦でドネアが失ったものは少なくないと思います。
中間距離での攻防(カウンターの取り合いがほとんどでしたけど)でリゴンドウに見劣りしたこと、スキルで劣ったこと。
そしてスピード負けしたこと。
ドネア得意の左フックの軌道はバレバレで、ちょっと当たりそうな雰囲気がなかった。
相性の問題もありそうなので、再戦はしないほうがいいかも。