ショートレビュー ガラハド-マルティネス

 

f:id:duran3616:20211112083230j:plain

Saturday 13, November 2021

Sheffield Arena, Sheffield, Yorkshire, United Kingdom

Commission British Boxing Board of Control

Promoter Eddie Hearn

Matchmaker Christian Cherchi inspector Curt Haslam, Anthony Rushton, Barry Coulson, Sally Sey

Media DAZN 

f:id:duran3616:20211116130854p:plain

 

マッチアップ:★★

スリル:★★★

スキル:★★

印象度:★★★

 

ガラハドは初見だったのだけど、ほぼほぼ想像していた通りの外連味たっぷりのファイターだった。

ボクシングは為すべきことを為せば、ある程度結果は付いてくる。

それはゲームプランを遂行することを意味するわけではなく、自身の資質にあった、強みを活かせるスタイルを貫くということだ。

エンタメ性があるかとか客受けするとかは別次元の問題。

外連味と表現したのは、つまりガラハドは余計なことをし過ぎていて肝心なことやるべきことがブレブレでファイトしている印象を持ったから。

アリとかレナードとかハメドくらい地力があれば派手なスタイルをセルフプロデュースしても相手との実力差があるので許されるが、ガラハド程度では見栄えを気にする余裕なんてないはず。

他の試合を観ていないのでいつもこうなのか知らないのだが、戦術的なスイッチスタンスを訓練不足未消化のまま大事な試合でやる意図がまったくもって不明。

まあ結果論だが、オーソドックスのまま戦っていたら勝っていたのではないか?

サウスポーにチェンジするとバランスが悪く、ジャブもぎこちない。

左のショートはまとも打てず(つまりカウンターが取れない)マルティネスをインサイドに呼び込むだけで墓穴を掘っていた。

オーソドックスの時は良いジャブを出していて、バランスも良く足もスムーズに動くのだが、何故かわざわざ不器用なサウスポーに替えてしまうのだ。

明らかにマルティネスは左ジャブを嫌がっていたし自分の距離に持ち込めないストレスを感じていたはずなのに、それを断ち切ってサウスポーにスタンスチェンジするから、みすみすペースを手放してしまっていた。

マルティネスはサウスポーをまったく苦手にしていない。

むしろショボいジャブでしか迎えうたれないから労せずに距離を詰めやすかったはずだ。

4Rに距離(照準)を掴み、5Rに右を思いっきり振った。

マルケスパックマンからダウンを奪ったときのようなロングの回しこむ右だ。

そいつをモロに食って試合はほぼ終わった。

なんとか立ち上がりゴングに救われたが、次のラウンドではガラハドエスケープする術はなく、またマルティネスの狙いすましたロングの右でジエンド。

一見ガラハドがペースを取っているように見えた序盤に頻繁にスイッチしたことも裏目に出たのだと思う。

「奴が左にスイッチしたら、右をリードに使ってプレッシャーをかけつつ距離を詰めて、タイミングをはかってロングの右を当てる。」

マルティネスが試合中に描いたであろう必勝プランはそんな感じではないか?

ここまであからさまに戦術が空回りする試合も久しぶりに観た。

トレーナーのドミニク・イングルの株も大暴落だな。

こういう酷い負け試合はボクサーだけの問題じゃないから。

「スイッチするのは止せ!」って言ったのかな?