ショートレビュー クロフォード-ディアス

 

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Date: 2017-05-20

Where: Madison Square Garden, New York, USA

Division: light welterweight (140 lbs, 63.5 kg)

Title: WBC and WBO World super lightweight titles 

 

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マッチアップ:★★

スリル:★★★

スキル:★★★

印象度:★★★

 

 

マッチアップデータを貼り付けていて、クロフォードがオーソドックススタンスで紹介されている箇所に目が止まった。

「もうオーソドックスじゃないだろ」

直近10試合においてはファイトしている時間の8割、いや9割は左構えで戦っているはずだ。

もうだれも彼がサウスポースタンスにスイッチしているだけとは思っていない。

本人に訊いてみたいよ、どんなつもりで左構えでファイトしているかを。

もともとクロフォードってカウンターパンチャーだった印象がある。

ただしオーソドックスで戦っていた時だけだ。

「シャープなカウンターを打つファイターだな」

と。

ところが左構えに執着(固定?)しだしてからのクロフォードに対する印象は変わってきた。

良い意味でか悪い意味でかは、ちょっと微妙。

現在のクロフォードの美点は下がりながら強いコンビネーションが打てることだ。

これはディフェンス力アップ(リスクマネジメント効果)にもつながっていて、あまり強くないであろう顎を守っている。

バックステップすれば少なくともカウンターは貰わないわけだから。

そして相手のパンチがドンピシャでコンタクトする危険ゾーンを回避しているわけだから。

試合ぶりに安定感があるのはディフェンスの意味合いのフットワークを使いながら、効果的なオフェンス(コンビネーションを繰り出す)を同時に発動しているからだ。

常にペースが保てる上に優勢(力上位)をジャッジや観客に印象付ける。

うーん、狡い奴だな。

もちろんこれは良い意味だが。

 ただ、パーフェクトではない。

同じスイッチスタンスの往年の名手マービン・ハグラーには及ばない。

耐久力の違いが二人の戦術的な幅に差をつけている要因。

 よりオフェンシブに行けるのは当然ハグラーの方。

クロフォードが同じことをやろうとすると、リスクが高まってしまう。

そこに彼の限界を僕は感じる。

今の戦い方が彼の精一杯だということ。

それと、左アッパーを多用することは戦術的に悪いことではないけど、

狙われるぜ、そのうち。

ディアスは右フックに脅威がなかったから良いけど、

例えばゲーリー・ラッセルJrのような右フッカータイプは要注意。

ガチンとタイミング合わされて一発を食ってしまう可能性がある。

まあそんなことができるファイターがいるのかというと、

多分パッキャオなら。